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古代の獣「サーベルタイガー」のミイラ発見 約3万2000年前の幼体 国際研究チームが分析

» 2024年11月22日 19時04分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 フランスのポアティエ大学などの研究チームは、サーベルタイガーの一種「ホモテリウム・ラティデンス」のミイラを発見したとする研究報告を発表した。シベリアの永久凍土で見つかったもので、約3万2000年前の幼体のものと推定している。現生するライオンの幼体と比べると、身体の形状に大きな違いがあることが判明した。

発見されたミイラ (A)が外見、(B)が骨格のCTスキャン

 ホモテリウム族は、鮮新世から更新世(533万3000年〜約1万1700年前)までを生きた哺乳類で、この種のミイラが見つかるのは非常に珍しいという。ミイラは頭部と胸部の前部分が保存された状態で、大腿骨と脛骨と結合した不完全な骨盤も見つかっている。発見時は、氷の塊に包まれた状態で、現在はロシアの研究機関が保管している。

 研究チームがミイラを分析したところ、体は20〜30mmほどの短くて厚いダークブラウン色の毛に覆われていた。背中と首の毛は脚の毛よりも長く、上唇には2列の髭がはっきりと残っていた。

(A,B)ミイラの頭骨の左側面と背面、(C,D)ライオンの頭骨の左側面と背面

 またライオンの幼体(生後3週間の遺体)と比べると、ミイラの上唇の高さが2倍以上高いことが判明した。これは上顎犬歯がさらに成長するため、それを上唇で覆う必要があるためであると推測している。他にもミイラの頭蓋骨や首はライオンよりも長く、2倍以上太いことなどが明らかになった。

(A,B)ミイラの頭骨の左側面と背面、(C,D)ライオンの頭骨の左側面と背面
(A,B,C)ミイラの大あごの3Dモデル、(D,E)ライオンの大あごの3Dモデル
(A,B,C)ミイラの前足、(D)ライオンの前足

 研究チームは「このミイラによって、毛皮や鼻口部の形状、耳介の形状と位置、口の開き方と鼻の平面形態を初めて観察することが可能になった」「古生物研究史上初めて、現生動物には類似例のない絶滅哺乳類の外見が直接研究できた」などと成果を報告している。

 この研究成果は科学雑誌「Scientific Reports」に11月14日付で掲載された。

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