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“博物館の照明”を充電式にした理由は? ミネベアミツミ「サリオピコ ポータブル」の新コンセプト分かりにくいけれど面白いモノたち(2/4 ページ)

» 2024年11月29日 17時45分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 実際、最初のサリオピコは、3灯のスポットライトを装着できる長いレールに、用途に応じて、1灯、2灯、3灯をユーザーに選んでもらうという製品だった。つまり、長いレールに自由にライトを付けるというのが製品のコンセプトだった。

筆者がデスクライトとして愛用中のミネベアミツミ「サリオピコ STAND-L 3W3灯」。高さが378mmあるLタイプは、今回の充電可能モデルは発売されない

その長さを支える台座は、それなりの重さが必要だし、デスクライトとして使ってもらうなら、それなりにコンパクトにする必要がある。また、3灯を長時間点灯させるバッテリーとなると、かなりの大きさと価格になってしまう。最初から考えになかったというのも無理はない。

 どのような形でユーザーに受け入れられるかも分からない状態で、見切り発車のように発売した製品ではあったけれど、市場には好意的に迎えられて、販売は好調。実際、太陽の下で見るような色でモノを見ることができるRa97(高演色性)の光をデスクライトに使うという発想の製品は、その後もほとんどない。

 その実力は、この連載の「机の上を美術館にしてしまうデスクライト「SALIOT pico」が演出する自然光の意外な効用」に詳しいので、そちらを参照してほしい。

「サリオピコ ポータブル」(左)と「サリオピコ」(右)それぞれのSサイズを並べてみた。ほんの少し、ポータブルの方が台座が高いのだが、色以外の変化はほとんど分からない

 最初の製品の好評を受けて作られたのが、支柱を短くした2灯タイプと1灯タイプ。「実は、このコンパクト版を作るのには反対だったんですよ。なんだか安易に思えてしまって。長いレールで、高さやライトの数を変えられるという形で完成していたから。モジュールになっているというのがポイントだと思っていたんです。でも、単品で家電として見た時、モジュールより、こういう1灯なら1灯、2灯なら2灯のサイズになっている方が製品としての完成度は高いんですよ。その辺、頭が固かったですね。反省しています」と上野さん。

 デスクライトがモジュールになっているというアイデア自体はとても秀逸だし、だからこそ最初の「サリオピコ」も売れたのだと思う。モジュール式にすることで、品番数を減らすこともできて、メーカーとしても扱いやすい製品になった。

 しかし、この1灯タイプは私も使っているのだけど、これがとても可愛いのだ。これはもう完全に家電だったので、この連載では取り上げず、別の媒体でグッズ紹介記事を書いたのだが、その記事を読んだ年配の方にかなり売れたらしい。こういう、光自体の質が良くて、コンパクトなデスクライトは、それはそれで需要があるのだろう。

 そして、このサイズの製品が出たことで、充電式のコードレスタイプの開発が現実的になった。

「サリオピコ ポータブル M」の使用例。必要な場所に持っていって、2カ所を同時に照らすことができる。3Wのライトは、作業の明かりとしては1灯で十分なのだ

 コンパクトタイプを充電式にするのなら、台座の問題の解決も難しくないのではないかと考えた上野さんは、さっそく開発を進めていく。なるべく同じサイズにしたいということと、バッテリーの持ち時間のバランスを考えてバッテリーを選定した。

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