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机の上を美術館にしてしまうデスクライト「SALIOT pico」が演出する自然光の意外な効用分かりにくいけれど面白いモノたち(4/5 ページ)

» 2022年05月06日 16時45分 公開
[納富廉邦ITmedia]

製品写真の撮影でも高い色再現度

 もちろん、仕事で革小物や文具を撮る時にも、製品の色がきちんと再現されるので助かっている。

photo このキートップの見やすさが、このライトを使っている最大の要因。キーの白さ、シャープな文字の輪郭が嬉しい。2灯を使って、光量と光の幅をコントロールできるので、反射を抑えながら、明るさと見やすさを両立できる

 ライト自体は、スポットライトのような形をしているのだけど、この前面にはレンズが仕込まれていて、光の幅を自在に変えることができるので、被写体に合わせて、光を絞ったり広げたりして撮るのも楽しい。しかも、かなり絞れるし、かなり広げられるのだ。薄い1枚のレンズでこれだけ広い光をムラなく出せるのは、精密機器メーカーであるミネベアミツミの加工技術の高さ。

 「光の広さが変えられるというのは、この製品の大きな特徴だと思っています。デスクライトでこれができる製品は他にはないのではないでしょうか。小さいレンズでこれを実現するのは、設計上のメリットはあったのですが、やはり光を大きく広げるための設計は難しいものがありました」と、設計を担当した、ミネベアミツミ スマート製品事業部の府馬秀典氏。この形状で、しかし光が大きく広がるのが、デスクライトとしてのサリオピコの使いやすさにつながっている。ライトの先端部を回すだけで、自在に光の幅を変えられるのは、とても便利なのだ。

photo これが、サリオピコに搭載されているレンズ。この小ささと精密な加工が伝わるだろうか

 このライトを使い始めてしばらくして、なんだか、文字が読みやすくなったような気がしたので、ミネベアミツミに問い合わせたのだけど、その時点では、「演色性の高さが文字の見やすさにつながるというデータはない」という返答だった。しかし、スタッフの間でも、読みやすい気がすると感じた人がいたこともあり、千葉大学デザイン・リサーチ・インスティテュート人間生活工学研究室との共同で実証実験を行っている。

 かなり小さな文字を、いくつかの照明機器の下で読み取っていくといった作業を中心に行われた実証実験で、結果は、読みやすさに関しては、やや優位だとはいえ、完全に優位といえるほどの差は出なかったものの、覚醒作用があるといわれる高色温度の照明と比べた場合、リラックスした環境での文字を見る作業に向いた明かりであるという結果を導き出せたとしている。

photo 千葉大の検証実験による、サリオピコの光のスペクトル分布を一般的なLEDと比較したグラフ。多くの色を満遍なく含みながら、青色光成分が抑えられていることが分かる

 これはつまり、他の照明機器と比べて、作業効率を落とさないか、やや上げつつ、作業自体を落ち着いて行えるということだそうだ。また、高色温度の光の元での作業だと、作業終了後に入眠しにくくなる傾向があるが、サリオピコだと、スムーズに入眠出来るという結果が得られたという。

photo 千葉大の検証実験による作業効率と落ち着き感の結果を表したグラフ。サリオピコが、小さな文字を読む実験での正答率、落ち着き感に優れることが分かる。

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