山田議員は、今後のクレジットカードの表現規制への対応に関し、国内の電子決済の比率が約4割になり、さらに比率が増していくと予測される現状に着目する。電子決済のほとんどがクレジットカード決済であり、クレジットカードのブランドもVisa/Mastercard/JCB以外の選択肢がほぼなく、寡占状態にあるという。国としても、電力やガス・鉄道に並ぶ「重要インフラ」にクレジットカードを指定しており、プラットフォーマーとしての側面もあるとしている。
これを受け、山田議員は「表現規制だけではなく、例えば、とある国の意向によって、こういう取引をさせないとなれば、国は混乱するだろう」と説明する。「プラットフォーム、あるいはインフラとして(クレジットカードに対する)規律・規制が必要になる」との考えを明かした。
具体的には、独占禁止法の解釈を広げ、「好き嫌いだとかいろんな理由でもって合法な取引ができない」状況を解消できないか、現在検討中とのこと。他にも、消費者保護の観点から、自由な売買を保証する文脈でクレジットカードに対して規律を設けるなどの案を挙げ、法的な根拠を準備し、クレジットカードの表現規制に対応するとしている。
集会には、漫画家で参議院議員の赤松健さんも登壇。立ち上げに関わった、絶版マンガなどの電子書籍配信サービス「マンガ図書館Z」が11月26日に停止した経緯を説明。「当事者ならではの知見が分かった」と語った。
赤松議員によると、停止の直接的な原因は、決済代行会社がクレジットカード以外の決済手段全てを含む決済サービスの解約を通告してきたことという。通告より前の2024年夏分の支払いもできないとの連絡があり、サーバの利用料金が払えなくなったと報告した。「普段から表現の自由・創作の自由を伝えている自分が決済サービスを押さえる会社に屈することになり、非常に申し訳なく思う」と謝罪した。
一方で「当事者ならではのいろいろな知見が分かった」とも赤松議員は語る。「3日後にはすぐやれ」というようなスピード感で通知が来ることなどが具体的に分かったとともに、どうすれば回避できたのかについても徐々に明らかになっていると説明した。
「例えば、ビットキャッシュ(インターネット決済で利用できる電子マネー)が結構使える。こういった現場の声が集まっている。こうした集会を通じて、意見交換や議論が深まり、前向きな解決法や代替の決済手段などの研究が進んでいくことを望んでいる」(赤松議員)
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