mixi2は、友人や気になるユーザーをフォローし、その投稿をタイムラインで閲覧したり、自分自身でテキストや写真を投稿できる。
Xに似ているが、投稿(タイムライン)の表示順が大きく違う。Xはシステムが推薦する(レコメンド)投稿が上位に並ぶため、“見知らぬ人のバズった投稿”が目に入りやすい。mixi2のホームは、ユーザーが選んでフォローした人のつぶやきだけが、時系列に並ぶ。
笠原氏はレコメンドタイムラインを「自分の家だと思ってたのに、突然知らないおじさんがいました、みたいな状態」と表現。mixi2は、知らないおじさんが乱入しない、「自分が主役になれる場でありたい」という。
初代mixiのような、人と人との関係を深める本来のSNSを提供したいと考えている。「SNSは、つながった人・つながりたい人との関係性を深めるものだった。レコメンドもいいけれど、友人とのコミュニケーションに本当に価値がないんだっけ? って」(笠原氏)。
歴史を振り返ると、当初のTwitterは“本来のSNS”だった。タイムラインは完全時系列だったが、徐々にレコメンドを強化していった。刺激的なコンテンツを優先的に表示し、タイムラインを新鮮に保つことで滞在時間を延ばし、広告をはじめとした収益につなげることが目的だ。
笠原氏は「それはビジネス上は正しいのかもしれない」と理解を示す一方で、「レコメンドの強化による成長は、短期的・一時的な可能性がある。中長期的には裏目に出てしまう可能性もある」と考えている。
mixiはレコメンドを優先せず「ユーザーが自分でコントロールできるサービスにしたい」という。「情報の波に受動的に飲み込まれるのではなく、自分が選んだチョイスが反映され、自分で自分が見たいものをコントロールできるようにしたいと考えています」
mixi2の構想を始めたのは、イーロン・マスク氏がTwitterを買収し、相次ぐ仕様変更でサービスが動揺した2022年末ごろ。Twitterの混乱で「短文テキストの領域で変化が起き、チャンスが生まれるのでは」と考えた。
とはいえ、テキストSNSは既にレッドオーシャンだ。Twitterは開始から約20年経ち、BlueskyやThreadsなどXの後釜を狙うサービスが乱立。短文SNSは厳しい市場といえるのではないか――。
笠原氏は「短文SNSで新しい体験を提供できるかは、チームでも悩んだ」と言いつつも「ベーシックなコミュニケーションとして、短文テキストは強い。王道、絶対なくならないもの」と考えて、参入を決めたという。
mixiから社名をとり、mixiの成功で上場した同社。「コミュニケーションサービスど真ん中であるSNSで主流となるサービスをもう一度やりたい」という思いを温めてきたという。
mixi2は笠原氏が統括する事業だが、「自分が発案した」と言い切ることには抵抗があるようだ。mixiへの期待の声は社内外からあったという。発案当初「予算はつけなくていい」と思っていたが、他の役員が予算を確保してくれるなど、役員から社員、社外まで”みんなの思い”がプロジェクトにのっているためだ。
開発は2023年にスタート。当初5人ほどのメンバーに、他の業務と兼任で関わってもらったが、24年初頭から専任化していった。笠原氏に賛同して集まってくれたスタッフばかりで、今は約10人に増えている。mixiに関わっていた40歳前後と、新卒も含む20代で構成されているという。
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