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理想的な“ゆで卵”の作り方、イタリアの研究者らが発見 32分間湯がく斬新な方法Innovative Tech

» 2025年02月17日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

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 イタリアのフェデリコ2世・ナポリ大学などに所属する研究者らが発表した論文「Periodic cooking of eggs」は、これまでにない斬新なゆで卵の作り方を提案した研究報告である。

理想的な“ゆで卵”の作り方、イタリアの研究者らが発見

 卵の調理において、白身と黄身は異なる最適温度(白身は約85℃、黄身は約65℃)を必要とすることが長年の課題であった。従来は両者を分けて調理するか、どちらかの食感を妥協する必要があった。

左から生卵、固ゆで卵、半熟卵、低温調理した卵、研究手法の周期的調理法による卵

 この問題に対し、研究チームは物理理論に基づき、周期的な温度変化を用いる新しい調理法「周期的調理法」を開発した。この方法では、100℃の熱水と30℃の冷水に交互に2分ずつ浸す作業を8回、合計32分間かけて行う。コンピュータシミュレーションによって、この方法で白身は87〜100℃と30〜55℃の間を行き来する一方、黄身は理想的な67℃前後で一定に保たれることが判明した。

 従来の調理法(固ゆで卵、半熟卵、低温調理)と4つの方法で比較評価を行った。ここでいう低温調理は、60〜70度で約1時間温める調理法を示す。

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 赤外分光法による分析では、この周期的調理法によって卵白は適度に固まり、卵黄は程よいクリーミーさを実現できることを示した。また、物性評価装置による硬さの測定では、固ゆで卵ほど硬くならず、低温調理よりも適度な固さが得られることを確認できた。

 専門家による味覚評価では、周期的調理法による卵は、卵白が半熟卵に近い程よい固さを持ち、卵黄は低温調理に近い滑らかな食感が得られることが明らかになった。さらに、栄養成分の分析により、周期的調理法は従来の方法と比べてポリフェノール類やアミノ酸などの機能性成分をより多く保持できることも確認できた。

卵白(b)と卵黄(c)に対する官能分析(味覚評価)の結果 固ゆで卵(赤)、半熟卵(黄色)、低温調理した卵(緑)、周期的調理法による卵(青)

Source and Image Credits: Di Lorenzo, E., Romano, F., Ciriaco, L. et al. Periodic cooking of eggs. Commun Eng 4, 5(2025). https://doi.org/10.1038/s44172-024-00334-w



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