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そろそろ、忖度抜きで「iPhone 16e」の話をしよう小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)

» 2025年03月17日 10時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

16eは別にダメじゃない

 16 Proがトリプルカメラ、16がダブルカメラであることからすれば、16eのシングルカメラが見劣りするのは当然だ。だが筆者は以前、iPhone XRを所有していたこともあり、これもシングルカメラだったが、特に困った事はなかった。

 そもそも筆者は、iPhoneではあまり写真も動画も撮らない。いちいち人に会うたびに記念写真を撮ることもないし、出てきた料理を撮ってインスタに上げることもない。店の中でいちいち「ビシャー」と疑似シャッター音を出して撮影し、みんなで楽しくおしゃべりしながら会食しようというときに1人だけ箸も付けずにiPhoneをいつまでもポチポチしているのは、マナーとしてどうなのかなと思っている。まあ写真を撮るぐらいはいいとして、投稿するのは後にするべきだ。

 ちゃんと撮らないといけないときには、一眼カメラにレンズ数本を持っていく。iPhoneのカメラで撮るのは、参考資料としての記録がほとんどなので、そこそこのカメラであれば十分である。

そこそこ写れば十分
動画ではDolby VisionによるHDR撮影もできる

 今、スマートフォンでいい写真を撮ろうと思ったら、Androidのほうが断然面白い。Lieca、Zeiss、Hasselbladといった高額レンズブランドとのコラボモデルがそれほど高くない価格で出回っており、AIによる補正機能もどんどん進んでいる。

 カメラのためにAndroidに乗り換えろというわけではない。iPhoneとAndroid2台持ちすればいいんじゃんか、という話である。写真はAndroidに任せて、iPhoneのカメラに投資するのはやめるという選択をするなら、16eは最適解だ。

 AIという点では、AppleのApple Intelligenceもようやく4月から日本でサービスが始まる。16e搭載のA18プロセッサは、Neural Engineに関しては上位モデルと同じレベルであり、遜色なく使えるだろう。

 Wi-Fi 7が使えないという指摘もあるが、そもそもうちのルーターはWi-Fi 6までしか対応しておらず、個人的には意味がなかった。加えてホテルや空港などの公共空間、あるいはイベント会場のプレスルームなどでWi-Fi 7を吹くようになるまでには、相当の時間がかかるだろう。

 第一、スマートフォンでそんなに大容量のデータ通信をやる可能性があるだろうか。一応iPhone13以降のProモデルではApple ProResをサポートしているので、動画データが巨大になる可能性はある。ただ出先でiPhoneで動画撮影して大容量の高画質素材をクラウドに今すぐアップするみたいな必要性は、プロでもあまりない。そもそもそれは、一般の人には関係ない世界である。

 「MagSafe非対応」に関しては、単に磁石が内蔵されていないというだけで、ワイヤレス充電には対応している。これはMagSafe対応ケースを付ければ解決だ。すでにAmazonなどでは16e用のMagSafe機能を付加したケースが1000円ちょっとで売られており、これを導入して問題なく使えている。

すでにMagSafe機能を付加したケースが売られている

 充電速度が最大7.5Wと上位モデルの半分だが、iPhone 12 miniでは7.5Wで運用して何も問題なかった。そもそも寝る時に充電器にセットするだけだったり、運転時にカーナビとしてMagSafeスタンドにくっつけて給電しながら、という使い方なので、十分である。

 ディスプレイは上位モデルが最大輝度1,000ニト(標準)、ピーク輝度1,600ニト(HDR)なのに対し、16eは輝度800ニト(標準)、ピーク輝度1,200ニト(HDR)とおよそ2割減で、ちょっと暗い。HDRコンテンツには対応するものの、他のHDR対応ディスプレイで見た経験があると、もう少し輝度が欲しいところだ。HDR動画撮影時にも、日中での撮影時にはモニターとしてもう少し輝度があったら、と思う。

 しかし単にNetflixやAmazon Prime VideoでHDRコンテンツを見るだけなら、それはもうスマホじゃなくて、4K Dolby Vision対応プロジェクタやテレビで見た方が、体験としては上質だ。スマホとして利用するにあたっては、日常的にHDR表示が必要なシーンというのはあまりなく、晴天時の屋外でスマホアプリの画面を見るという用途であれば、何の問題もない。

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