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不動産業界向けSaaSベンダー・イタンジ経営陣の愛読書は? “本棚”をのぞき見IT経営者の本棚(1/3 ページ)

» 2025年04月21日 10時00分 公開
[吉川大貴ITmedia]

 「本棚は人柄を表す」「読書をすれば人生が変わる」などとよくいわれる。実際、仕事で必要な知識や考え方を、読書を通して学ぶ人も多いだろう。とはいえ仕事で忙しい中では、成長や学びにつながる本を効率的に探すのは難しい。

 そこで本連載では、今をときめくIT・Web関連企業の経営者の本棚や愛読書をのぞき見。現代社会で戦うIT経営者たちがどんな考え方に影響を受けているのか、ヒントを探る。今回は、不動産業界向けSaaSベンダー・イタンジ経営層の本棚や愛読書をのぞき見る。

※本文中のプロフィールは取り上げた企業が提供したもの、またはその企業公式サイトから引用したものです。

永嶋章弘代表取締役社長執行役員CEOの本棚

永嶋CEOの本棚・愛読書

読んでいる本についての全体的な傾向

 普段読む本の選び方には、大きく3つのパターンがあります。1つ目は、経営や組織づくりの現場で行き詰まった時、具体的な課題解決につながる本を選ぶパターンです。2つ目は、特定の状況や業界を超えた、普遍的で本質的な理論を学べる本を選ぶパターン。3つ目は、自分の視野やアイデアを広げるため、あえてテーマを散らして幅広く選ぶパターンです。

印象に残っている本

 「世界標準の経営理論」(入山章栄著)です。普遍的で本質的な理論を学べる本です。最大の魅力は、経営に関する膨大な理論が体系的にまとまっているところ。「経営理論」という言葉はよく耳にしますが、そもそも「理論」とは何かを明確に理解している人は少ないかもしれません。

 私自身、この本を読むまでは、フレームワークや具体的なノウハウに目が行きがちでしたが、本書を通じて「理論を学ぶことの本質的な価値」に気付かされました。理論とは単なる知識やハウツーではなく、「なぜそうなるのか」という本質を理解し、自分で考えるための強力なツールだと教えてくれます。経営の現場では常に判断を迫られますが、その判断の質を高め、ブレない軸を持つために、経営理論が果たす役割の大きさを実感しました。

 また、ビジネスパーソンがアートを学ぶ必要があるという話をよく耳にしており、自分でも興味を持ち始めたタイミングで出会ったのが、「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」(山口周著)と「13歳からのアート思考」(末永幸歩著)という2冊です。

 前者では、なぜ今ビジネスの現場でアート的な感性や美意識が求められているのか、その理由が丁寧に解説されており、説得力をもって理解できました。さらに後者を読むことで、実際にアートを通じて自分自身がどのように物事を見る視点を変えていくべきかという具体的なヒントを得ました。

 これらをセットで読むことで、アートという一見ビジネスから遠く感じる分野が、実はビジネスマンにとって重要であることに腹落ちしました。視野を広げるだけでなく、新たな角度から課題を捉え直す力も高まったように感じています。

プロフィール

 筑波大学大学院システム情報大学研究科にて情報工学修士号を取得後、エンジニアとしてニフティ株式会社に入社。 2014年、創業期のイタンジに入社し複数の新規事業を立ち上げ、2016年、株式会社メルカリにプロダクトマネージャーとして転職。 2018年、イタンジに再入し執行役員に就任、デザイン部門、マーケティング部門などを管掌。2023年11月、代表取締役社長執行役員CEOに就任。


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