先日、Xで「子どもにはiPhoneを買うべきなのか。Androidではいけないのか」といった議論が巻き起こっていた。
この議論は、ネット上で何年にもわたって繰り返されている。しかし、少しずつムードが変わってきていることを感じる。
以前は、「子どもは安価なAndroidで十分」という意見が多数であり、そもそも「スマホなんてぜいたく品だ」とスマホを持たせるなという論調さえあった。
しかし、現在はスマホを持ち始める年齢の平均が10.3歳(NTTドコモモバイル社会研究所調べ)と、小学生でもスマホを持つことが珍しくなくなり、現実的な視点で考える人が増えたのだと思う。
Xを追っていくと、「黙ってiPhone買ってあげてほしい」「AirDropとか子どもにはiPhoneにしたい理由もある」「プレステ欲しいのにセガサターン買われるみたいなもん」など、iPhoneの購入に理解を示す声も多く見られる。
そもそも、なぜ子どもはiPhoneを欲しがるのか。筆者が実際に会ってきた子ども達の訴えから理由を掘り下げていく。
子どもは、「みんなiPhone持ってるからiPhoneが欲しい」と主張する。子どもの「みんな持ってる」はあてにならないこともあるが、筆者が会う10代もほとんどがiPhoneだ。
そこで、子どものiPhone率の高さを表すような調査を探したが、ここ数年に行われた中高生対象のOSに関する調査を見つけられなかった。これも大人を混乱させている要因なのかもしれない。
そこで、東京都生活文化スポーツ局が令和5年3月に公表した「スマートフォン等の利用等に関する調査 報告書」を引用する。調査対象が都内在住に限定されているため、全国とは異なる結果かもしれないが、ご承知おきいただきたい。
本調査によると、小学生から高校生の全体では、「iOS(iPhone)」が61.8%ともっとも高く、「Android」が37.9%となっている。学年が上がるほどiOSの割合が高くなり、高校生では72.3%がiOSを利用している。令和2年度の調査よりもiOSの割合は1.8ポイント高くなっている。
このグラフを見ると、高校生でもiPhoneは約7割であり、「みんなiPhone」というよりかは「ほとんどがiPhone」とも解釈できる。しかし「Androidだからみんなの前では使わない」という男子中学生の話を聞いたことがあるため、堂々とスマホを見せている人がiPhoneであり、その結果「みんなiPhone」に見えるのかもしれない。
ほとんどがiPhoneを使う世界では、「あの加工アプリ便利だよ」「新しいSNS使ってみない?」とiOSのアプリを教えられても使えないケースが起きる。「SNSに投稿している画像に使っているフォントが違くて、Androidってすぐ分かる」と、ある女子高生も語っていた。
「自分はみんなとは違う」と、事あるごとに実感することは、思春期には大きな打撃となるだろう。
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