世界的なオールドコンデジブームが続く中、キヤノンのデジカメでは少し異なる現象が起きています。5年前に発売された現行モデル「PowerShot G7X Mark III」の中古価格が高騰し、一方で最新の「PowerShot V1」が登場。5年前の機種と最新機種が実質同じような価格となってしまっているのです。今回はこの2機種を比較しながら、スマホが当たり前になった時代のデジカメ市場とメーカーという点も考えていきます。
私もG7X Mark IIIは数年前から愛用していますが、昨今の中古価格高騰は異常です。2019年に約10万円で発売されたデジカメが、現在は18万円前後でやり取りされていて、某フリマサイトでは30万円を超える値付けを見たこともあります。
きっかけは、TikTokで海外の有名モデルが「ベストカメラ」と絶賛したこと。そこから世界的な品薄状態が続き、キヤノンの供給も追いついていません(現在受注停止)。とにかくタマ数がないので、中古でも高騰してしまっているわけです。
そんな状況下で登場したPowerShot V1は、これまでのキヤノンのコンデジとはまったく違うカメラです。センサーは1.4型で1型センサーの約2倍の面積。そして、このサイズはマイクロフォーサーズとほぼ同等の大きさです。
つまり、V1に搭載された「デュアルピクセルCMOS AF II for PowerShot」というのはコンデジにマイクロフォーサーズをつっこんだカメラであり「キヤノンがマイクロフォーサーズカメラを作ったらこうなる」という理想形を具現化したような1台です。
このセンサーの採用により、被写界深度がいたずらに浅くならず、バランスの良い描写を実現。AF性能も優秀で、G7X Mark IIIと比較すると「超絶速く・かしこい」AFとなっています。
また、被写体追尾機能もありますから、速いだけではなく、“くいつくAF”になっていて、さすがに5年の差をいちばん感じる部分です。もちろん、暗所から明所への急激な変化にも素早く対応しています。
テストとして4Kタイムラプスも撮影してみましたが、ズームしても十分な画質があります。これまでのコンデジでは画質面でやりにくかったズームを使って、タイムラプスでも好きな画角を選ぶことができます。
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