「難しかったのは、背面の2つのLCD画面ですね。最初から、アイデアとして提案されていたのですが、この大きさのカメラに2つの画面を入れるのは難しい課題でした。一方でモックアップの非常にコンパクトなサイズ感は絶対に実現したい部分でした。それを、1つのLCDパネルを外装のデザインで区切って、2つの画面として見せるという発想で実現させました」
背面にはLCDの画面が2つ(実は1つのパネル)。右がメインのいわゆるデジカメのディスプレイ的な機能の画面、左の細長いサブディスプレイでフィルムシミュレーションやフィルターの選択が行える。選んだフィルムのパトローネが覗いているように見えるフィルムカメラのように、入れているフィルムが分かる背面パネルのデザインは、このカメラの最も魅力的なデザインの一つ。しかも、フィルムシミュレーションを、単にメニュー画面から選ぶのではなく、実際に、そのフィルムを入れ替えているような気分を味わえる体験は、ある意味マニアックな機能を、より身近に感じさせてくれる優れたインタフェースなのだ。そして、このインタフェースがあるから、フィルムを入れて撮っていた時代の感覚を再現した「フィルムカメラモード」が生きる。
フィルムカメラモード使用時の背面ディスプレイの表示。撮影枚数などの被写体情報が表示されるのは、従来のフィルムカメラ同様。基本的には最初に設定した枚数を撮り切るまでは撮影した写真の確認も出来ない(フィルムカメラモード自体を途中でキャンセルし、その時点まで撮影した写真を確認することは可能)「フィルムカメラモードは、最初のアイデアにはありませんでした。最初にあった、撮るたびに必ずレバーを巻き上げるというアイデアについては、本来撮影に必要な行為というわけではないので違和感があって、一方で撮影体験としては面白いとも感じていたので、だったら、そのギミックを体験できるスペシャル・モードを作ろうよ、という発想から出てきた機能がフィルムカメラモードでした」
この「フィルムカメラモード」という機能、リリースを読んだ時には全然ピンと来なかったというか、それは何のため? といった感じだったのだけど、実際に使ってみると、これが面白かったのだ。
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