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AIパワー注入で日本語入力はこう変わる――文脈を読み取って変換する「azooKey on macOS」を試す小寺信良のIT大作戦(2/3 ページ)

» 2025年07月17日 10時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

快適にライブ変換できる

 まず実際の入力がどのようになるのか、テキストエディタ上での動作でご覧いただく。

「azooKey on macOS」による日本語変換の様子

 ご覧のように入力中に、どんどん漢字変換されている。青いアンダーラインのところが入力中でまだ確定していないところだ。これでよければEnterキーを押し、確定する。変換の間違いがあれば、ここで変換キーなりスペースキーなりを押して、候補選択モードに入る。候補選択に関しては一般的な日本語入力システムと同じだ。一度変換を修正すると、次からは正しく変換される。ライブ変換の醍醐味は、細切れ入力の必要はなく、一気に入力して変換できることだ。

 弱点としては、技術系の文章では日本語の中に英単語が混じる場合が多いが、そうしたケースは得意不得意がある。AppleやGoogleなどの有名な単語は、英文としてタイプするよりもカタカナで入力してしまった方が、ちゃんと変換できる。一方あまり一般的ではない英単語に対しては、英単語の綴りで入力しても英語としては認識されない。

 ATOKの場合は、英単語の先頭を大文字(Shift押し)で入力すると、それ以降は英語入力として受け付けるという機能がある。日本語の途中に単体で英単語を挿入する場合、先頭を大文字で記載するという習慣をうまく使った変換である。

OpenAI APIを利用した、新しい変換

 続いてOpenAIのAPIを利用した機能を見てみよう。これは2つの使い方がある。まず一つ目は、文章を書いている途中でCtrl+sを押し、「つづき」と入力すると、AIが文章の続きを提案してくれるという機能だ。

 ここでいうCtrlキーは、Commandキーではなく、本当にCtrlキーのことだ。Mac用キーボードでは、一般的にWindowsで言うところのCtrlキーはCommandキーに置き換えられており、Ctrlキーがないものもある。その場合はキーアサインが変更できるタイプのキーボードや、キーコードの入れ替えを可能にするKarabiner-Elementsなどを使って、Ctrlキーコマンドを発するキーを作る必要がある。

 環境が整ったところでCtrl+sを押してみると、ご覧のような候補が提示された。である調の文章に対してですます調で返してしまうあたりがもう一歩だが、文章の締めの言葉に行き詰った時なんかには利用できる。

OpenAIを使った入力補助機能の動作

 もっとも同様の機能はAIコードエディタの「Cursor」にも搭載されている。Cursorでは文章の入力中に勝手に候補が出てくるわけだが、azooKeyの場合はキーボード操作が必要という点で異なる。azooKeyの場合は複数の候補が出てくるので、文章が詰まったときに先を促すという点では、こちらのほうが使いやすいこともあるだろう。

 ただ現時点で使ってみている限りでは、あまり発展的な「続き」は出てこない。この点に関しては、CursorのようにOpenAI以外の複数のAIが選べるようになると、よりそういうことが上手いAIを使うことで、カバーできるかもしれない。

 もう一つの機能は、文章を選択したのち、Ctrl+sを押すと、文章を別のフォーマットに変換してくれる「いい感じ変換」だ。実際の動作は下の動画をご覧いただきたいが、独自のウィンドウが開き、そこに文章をどうしたいかを入力すると、そのフォーマットに変換してくれるという機能である。

OpenAIを活用した「いい感じ変換」の動作

 日本語を英文に変換することができるが、もちろんその逆もできる。これはazooKeyで入力したかどうかに関わらず、どんな文章でも選択さえできれば変換してくれる。また逆も可能で、英文を選択して日本語に変換することもできる。

 ただし日本語入力システムとして文書入力ができる、エディタやワープロソフト上で動かすことが条件である。Webブラウザのように入力を受け付けないアプリ上では動作しない。

 また日本語としても、もっとフォーマルにとか、もっとフレンドリーにといった指示で変換できる。ラフに文章を書いたのち、上司に報告するためのフォーマットに変換するということもできる。

 同じことは数あるAIのフロントエンドを開いて文章を貼り付け、コマンドを入力すればできるのだが、日本語入力システムに統合されることで、誰でも利用できるというのがメリットである。

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