ITmedia NEWS > 社会とIT >

「MHP2G」は約9カ月で開発した──辻本Pが振り返る「モンハン」21年の歴史 初代から4Gまでの10年間【前編】(1/4 ページ)

» 2025年07月24日 14時44分 公開
[松浦立樹ITmedia]

 カプコンは7月24日、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2025」で人気ゲームシリーズ「モンスターハンター」の歴史をひもとく、基調講演「『モンスターハンターシリーズ』 21年の継続と仕掛け」を行った。2007年から同シリーズを担当する辻本良三プロデューサーが登壇した。

辻本良三プロデューサー

 初代モンハンから最新作「ワイルズ」まで、モンハンシリーズ共通で持っているのが「誰でも参加できるマルチアクションゲーム」というテーマだ。

 オンラインゲームでは「他人の邪魔をしたらどうしよう」など、参加をためらうユーザーが一定数存在する。モンハンではこれを払拭し、誰でも参加しやすいシステム、世界観の構築を目指している。その一例が、ゲームの活躍度に依存しない「フラットな報酬システム」や「殺伐としない世界観」だという。

 そうして生まれたモンハンシリーズは2025年で誕生から21年がたつ。最新作ワイルズもシリーズ最速で世界累計販売本数が1000万本を超えるなど、いまだ根強い人気を持つモンハンはいかにして誕生したのか。

モンハンシリーズ21年の歴史を振り返る

初代モンハンを発売した2004年 ネットワーク環境の壁、高く

 初代モンハンを開発したチームは、カプコンでアーケードゲームの開発を得意としていたチームだった。当時からゲームセンターの数は減少傾向にあり「2000年以降のゲーム業界はコンシューマーとネットワークの時代が来る」と予測。チャレンジの意味も込め、カプコンの得意ジャンルであるスポーツと自社IP、アクションジャンルでコンシューマーゲームの開発を決めた。

「2000年以降のゲーム業界はコンシューマーとネットワークの時代が来る」と予測

 その中のアクションゲームに当たったのが初代モンハンだ。開発を始めたのは2000年ごろ。その後、2004年3月21日にシリーズ第1作となる「モンスターハンター」(PS2)を発売した。キャッチコピーは「狩れ、本能のままに。」でこのころからすでに、モンハンを象徴する「狩り」という言葉が使われていた。辻本プロデューサーは初代の企画書も一部公開し、企画当初からタイトルが「モンスターハンター」だったことを明かした。

初代モンスターハンターの企画書(1/2)
初代モンスターハンターの企画書(2/2)

 「正直かなりシンプルなタイトル名なので、最終的には変わるだろうと思っていたところ、商標を出してみたらまさか通った。ということで、モンスターハンターが正式名称になった」

 またシリーズでおなじみの「モンスターの素材を使ってプレイヤーを強化していく」「モンスターの生態をプレイヤーに考えてもらいながらプレイしてもらう」などのシステムも、当初の企画書で提案していた。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

あなたにおすすめの記事PR