農林水産省が立ち上げたフードテック官民協議会が、現在「培養肉」などと呼ばれる、培養した細胞を原料とする食品について、原則として「細胞性食品」と呼ぶ方針を定めた。今後、消費者向けに理解促進を進める他、販売事業者向けの規格化も検討する。呼称を議論したワーキングチームの事務局を務める細胞農業研究機構が8月18日に発表した。
同様の食品はこれまで、関係企業の資料や展示、その報道などで「培養肉」「培養食品」などと呼ばれてきた。しかし名称のぶれが消費者の混乱につながる懸念から、6月に専門家の意見も踏まえ名称を検討。「養殖」との混同の回避や、官公庁での過去の使用例、英語(Cell-Based)との整合性を鑑みて「細胞性食品」と呼ぶことに決めた。発酵食品やきのこなど、培養工程を含む既存の食品を扱う業界への影響も加味したという。
ただし「細胞性食品」との呼び方にも誤解のリスクはあるため「名称単体でのコミュニケーションに甘んじるのではなく、周囲の情報設計と一体的に社会に伝える工夫を続ける姿勢が、今後の普及と受容には不可欠」(細胞農業研究機構)としている。
今後は一般消費者向けに資料などを通して理解促進を図る。販売事業者向けにも、市場展開のめどがつき次第、ラベルなどでの表示ルールの策定や規格化の検討を進める。
フードテック官民協議会は農水省が2020年に設立。日清食品ホールディングスや吉野家ホールディングス、早稲田大学、細胞農業研究機構など食品系企業や研究機関、業界団体が所属し、フードテックに関する環境整備やルール作りについて協議している。
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