米Googleは8月20日(現地時間)、自社イベント「Made by Google」で、Pixelシリーズのスマートフォンの第10世代になる「Pixel 10」シリーズを発表した。「Pixel 10」「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」「Pixel 10 Pro Fold」という、Pixel 9シリーズと同様のラインアップだ。先代のPixel 9シリーズ同様に、7年間のソフトウェアサポートを提供する。このイベントでは、「Pixel Watch 4」と「Pixel Buds 2a」、幾つかの周辺機器も発表された。
本稿では、Pixel 10 Pro Fold以外のPixel 10シリーズの主なスペックと、新たに利用できるようになった機能について紹介する。
すべて、8月21日に予約開始で、発売は8月28日だ(Pro Foldは10月9日発売予定)。
Googleは、Pixel 10シリーズで「Geminiを搭載したユニバーサルAIアシスタント」を目標としているという。新SoC「Google Tensor G5」を搭載する。この新SoCは、台湾TSMCの3nmプロセスノードで設計され、TPUが最大60%高速化、CPUは平均34%高速化された。
Pixelシリーズとして初めて無線充電規格の「Qi2」をサポートし、別売で無線充電のための充電器やスタンドが用意された(従来の「Pixel Stand」は、Pixel 10シリーズでは使えない)。
Pixel 10の筐体はポリッシュ仕上げの背面ガラスにサテン仕上げの金属フレームを採用。色はObsidian、Indigo、新色のSubtle FrostとLemongrassの4色だ。
無印Pixelとしては初めて、背面カメラが3基になる。新たに5倍望遠レンズが加わり、高速オートフォーカス、10倍の光学相当ズーム、20倍の「超解像ズーム」が可能だ。ただし、Pixel 9では4800万画素だった超広角が1300万画素に、5000万画素だった広角が4800万画素にそれぞれダウングレードされた。前面カメラは1050万画素広角。
6.3インチのディスプレイはピーク輝度3000ニトのActuaディスプレイで、最低輝度は1ニトまで拡張された。
バッテリー持続時間は約30時間。30Wの充電器では30分で55%の急速充電が可能だ。
メモリは12GB、ストレージは128GBか256GB。価格は128GBが12万8900円、256GBは14万3900円。
筐体はマットガラスだが、そこに反射金属仕上げのGoogleの「G」ロゴが配置された。フレームはポリッシュ仕上げの“航空宇宙グレード”のアルミフレーム。また、カメラバーのカメラ部分にダイヤモンドカットが用いられている。色は、従来のObsidianとPorcelainに新色のMoonstoneとJadeが加わった4色展開だ。
ProとPro XLの仕様で異なるのは、サイズ、ディスプレイのPPI、無線充電の最大出力、急速充電の速度だ。Pro XLはQi2.2をサポートし、最大25Wに対応する。急速充電は、Proは30分で最大55%、Pro XLは最大70%となっている。
Proのディスプレイは6.3インチ、Pro XLは6.8インチ。Super Actuaディスプレイを搭載し、Pixel 9 Proより10%明るく、消費電力は少なくなった。
アウトカメラは、5000万画素の広角レンズで動画手ブレ補正のためのOISの範囲が2倍になった。4800万画素の望遠レンズは、ハードウェア、ソフトウェア、AIの組み合わせにより、最大100倍のズームを実現する。この100倍ズームはTensor G5に最適化された超解像ズームで、生成AIによって画像の複雑な細部を復元する。
メモリは16GB、ストレージは256GB、512GB。Pixel 10 Proの価格は、256GBが17万4900円、512GBが19万4900円。Pixel 10 Pro XLの価格は、256GBが19万2900円、256GBが21万2900円。
Tensor G5とTitan M2セキュリティ コプロセッサの搭載で強化された新しいAI機能を紹介する。
「マジックサジェスト」(米国では「Magic Que」)は、ユーザーが日常的に使うアプリやアクションで、コンテキストに基づいた予測的な提案を提示することで、時間を節約し、手間を省くことを目的とする機能。
例えば、友人がフライトの到着時間や夕食の場所をメッセージで尋ねてきた場合、マジックサジェストがGoogleカレンダーやGmail、写真ギャラリーなどから関連情報を自動的に参照し、返信に必要なフライト情報、レストランの詳細、関連写真などを自動的に提案する。
マジックサジェストがアクセスできるデータはユーザーが制御し、いつでもオプトアウトできる。
Pixel 10 ProとPixel 10 Pro XLの超解像ズームでもAIが活用されている。30倍以上の高倍率ズーム撮影時に適用され、複数のカメラからの画像を整合・統合するアルゴリズムと組み合わされているという。
Pixel 8から使えていた「ベストテイク」の強化版、「オートベストテイク」は、複数人を被写体とする際、シャッターボタンを1度押すだけで自動的に各人の最も良い表情を捉えた1枚が選ばれ、合成される(従来のベストテイクではユーザーが選択する必要があった)。カメラ内のAIが数秒間にわたって撮影された最大150フレームの画像を分析し、各人物が適切に写っているベストショットを自動的に選択するという。従来のようにユーザーが候補から選択することも可能だ。
最もユニークなのは、「カメラコーチ」だろう。これは、Gemini採用でユーザーがより良いフレーミングと構図を試すのを助け、魅力的な写真が撮れるようアドバイスするというものだ。シーン分析、ショットの提案、ステップバイステップのアドバイスでユーザーを助ける。この機能を使うにはインターネットに接続していることが必要だ。
カメラアプリに、「C2PA」のコンテンツ認証情報を実装した。Pixel 10シリーズで撮影したすべての写真に、AIで編集したかどうかにかかわらず、来歴を示すメタデータが埋め込まれる。このC2PA情報は、Googleフォトでも確認可能だ。
音声翻訳は、Tensor G5とGemini Nanoを活用するリアルタイムで電話の翻訳をする機能だ。話者の声の抑揚や声色を保ちながら翻訳するので、自然な会話を可能にするという。
音声を録音し、テキスト起こし(トランスクリプト)もするアプリ「レコーダー」がモバイル版「NotebookLM」アプリと直接連携する。これにより、レコーダーのテキストの内容についてチャットしたり、人気のPodcastのような「音声解説」を生成して聴いたりすることが手軽にできるようになった。
Pixel 10シリーズがQi2を採用したことで、充電関連の周辺機器も幾つか発売される。いずれも8月28日発売だ。
Pixelsnap充電器には、単体とスタンド付きの2種類がある(スタンド付きの充電器も、充電パッドを取り外せる)。
Google Pixel 10 Pro XLは最大25W、そのほかのPixel 10シリーズは最大15Wで急速充電する。
充電器は6380円、スタンド付き充電器は1万1220円。
スタンド付き充電器より簡易的に充電中のPixelを立てて置けるPixelsnapリングスタンドも発売する。リングの裏地には柔らかなマイクロファイバー素材を採用しており、回して見やすい角度に調整できる。
価格は5060円。
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