大正12年9月1日に起こった関東大震災にちなんで制定された「防災の日」は、日常の中の防災を考える良い機会。ということもあってか、この時期、様々なメーカーから防災用品が発表されるのだけど、では、それらを買って備えようという気になるかというと、これがなかなかそうはいかなくて困ってしまう。「備え」は、金銭と場所の両方に余裕がないと難しいのだ。
そんな中、このところ聞かれる言葉に「フェーズフリー認証」というのがあって、これは、日常生活の中で普通に使えるけれど、災害時などにも役に立つというアイテムに対して認証するもの。いかにも「防災用品です」という感じのものでは認証が取れないというのがポイントで、これなら場所や金銭に余裕が少なくても、「どうせ使うものなら」といった感覚で生活に取り入れられる。
今回は、「日常で使える防災スリッパ」などのフェーズフリー製品を発売しているキングジムが8月5日に新たに立ち上げた、新防災ブランド「KOKOBO(ココボ)」によるオフィス防災と日常の考え方と、キャリーバッグなどでおなじみエースがace.(エース)ブランドから8月26日に発売される、個人の防災にも役立つフェーズフリー認証取得のビジネスリュック「スペースオプト」を例に、日常と防災をメーカーはどのようにつなごうとしているのかを取材してみた。
筆者は、学生時代からフリーでライターをやっているので、実は会社員経験がないのだけど、KOKOBOの発表会での話を聞いていると、やはりオフィス防災において重要なのは省スペースであり、特別なものとして扱われないようにすることだという。
それは、個人での日常の防災と変わらない。家庭よりは収納スペースに余裕があるけれど、大人数に対応する必要を考えると、結局は基本的な考え方に相違はないのだろう。
キングジムの柘植史織さん(開発本部ライフグッズ開発部ステーショナリー・防災課)は、「防災用品はどうしても特別なものとして扱われていて、普段使われることがありません。なので、例えば使い方が分かりづらかったりとか、保管場所に困ったり、あとは日常の業務と切り離されてしまったりします」とブランド発表会のトークセッションで指摘した。
KOKOBOでは、そうした課題を解消するため、オフィスや働く現場に自然に馴染むデザインであったり、誰でも使いやすい機能性を重視しているという。これが新ブランドのコンセプトだ。
個人だと、買ったものは一通り使ってみるけれど、会社の備品としての防災用品は、確かに使ってみるということはあまりしないだろう。さらに、どこに置かれているかも分かりにくいかもしれない。
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