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“圧縮機能”付きリュックにみる、防災グッズの新潮流 ポイントは「どうせ使うものなら」分かりにくいけれど面白いモノたち(2/5 ページ)

» 2025年09月01日 18時52分 公開
[納富廉邦ITmedia]

 今回発表された「災害トイレセット(100回分)」もそうだが、防災用品の多くが、A4ファイルのラックサイズになっていて、しかもファイルと並べて置くことを推奨しているのは「ここにあるよ」という状況を日常のものにしたいという狙いもあるのだろう。だからこそ、デザインもファイルと一緒に並んでいても不自然ではないナチュラルなものになっている。

キングジム「KOKOBO 屋根が開く防災テント」(2万4200円)。奥にある細長い黒いケースに入っているのは「自動でふくらむ防災マット」(9900円)

 「自動でふくらむ防災マット」は、収納時に630(長さ)×160(直径)mmと部屋の隅にも置いておけるサイズで、使用時にはマットレス的な寝心地なのは、家庭にも置いておきたいと思ったが、これは日常の中の防災というより、かなりしっかりと「ザ・防災用品」ではある。

 今回の新ブランドは、これまで「日常で使える防災スリッパ」のような小さな防災用品を作っていたキングジムが、大きな製品に挑戦するという意味合いもあるそうで、今回発表された「屋根が開く防災テント」「縦横使える防災テント」も、そのラインで作られたものなのだろう。

 フェーズフリーではないけれど、それらの製品はどれも、かなりコンパクトに畳めることと、とにかく簡単に使えるという部分は共通していて、柘植さんが言う「使い方が分かりづらい」という部分の解決と省スペースに重点が置かれているという意味では、ココボのコンセプトにぴったりの製品なのだ。

 さらに「縦横使える防災テント」の、寝る時は横に、作業する時は縦にといった使い方に加え、トイレットペーパーなどを付けられるホルダーや、ライトなどを掛けられるフックなどを装備することで、簡易トイレとしても使えるといった、一つの製品が状況に応じて様々に変化する仕様は、省スペースのアイデアとしてもよくできている。

 とはいえ、個人的にはやはり小さな、日常使いの製品の中に防災用とを忍ばせるような製品にこそ、キングジムというメーカーのアイデアの方向が生きると考えている。フェーズフリー的な意識の強い身の回りで使える製品も、KOKOBOのブランドで発表してもらいたいと思っている。

圧縮機能付きの大容量バックパック

 やはり、フリーランスで家にいることが多い筆者は、どうしても大掛かりなものよりも、日常生活の中で使えるものに目が向いてしまう。その意味で、ace.の「スペースオプト」は、その「本体気室に『圧縮機能』を備え、気室内のスペースを有効活用できる大容量バックパック」というコピーだけで、エースに貸し出しを申し込んでしまったのだった。

ace.の「スペースオプト」18L/24Lタイプ:3万5200円、31L/39Lタイプ:3万7400円。写真は18L/24Lタイプ。背負っているのは、今回の取材に答えてくださったMD本部の白石悠一郎さん

 もちろん、防災意識からではなく、バッグに旅行の必需品でもある圧縮袋的な機能を内蔵するということの意味がよく分からないけど、何か魅力的と思ったから。

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