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「明らかに塩気を感じる」――電気で塩味アップ? キリンの“食器型デバイス”に新作、減塩スープを飲んでみた(1/2 ページ)

» 2025年09月10日 06時30分 公開
[三好一葉ITmedia]

 電気の力で減塩食をおいしくする――そんなコンセプトでキリンホールディングス(以下、キリン)が開発を続けてきた「エレキソルト」シリーズ。微弱な電気を流すことで塩味やうま味を感じやすくするという仕組みの食器型デバイスで、2024年に発売したスプーン型に続き、カップ型の「エレキソルト カップ」(2万6950円)が新たに加わった。その効果のほどは。9月9日に開かれた発表会で「減塩ミネストローネスープ」を実際に試食してみた。

photo 左からキリンの佐藤愛氏(ヘルスサイエンス事業部 新規事業グループ)・吉村透留氏(取締役常務執行役員/ヘルスサイエンス事業本部長)、ヤーマンの小島英明氏(開発本部 開発企画部)(「新 エレキソルト」発表会にて編集部撮影、以下同)
photo 今回発売した「エレキソルト カップ」「エレキソルト スプーン」

 キリンは2019年にエレキソルトの開発に着手。2024年5月にはスプーン型の初代「エレキソルト スプーン」(1万9800円)を発売した。明治大学と共同開発した独自の電流波形を搭載しており、塩味を最大約1.5倍に強める効果があるとうたう。

photo 初代「エレキソルト スプーン」 

 初代のスプーンは、12月までに「想定の7倍超」という2650台を売り上げた。今回、このスプーンのリニューアル版(2万4750円)とあわせて、「スプーン以外の形状も欲しい」「汁物を飲むのにスプーンは使わない」といった声もあったことから開発したのが「カップ型」のデバイスだ。

「減塩ミネストローネスープ」を実食 味は? 使い勝手は?

 発表会では、減塩仕様のミネストローネスープ(具なし、約1.5倍に希釈)が提供された。記者もエレキソルト カップを使用して試食した。

photo 実食したスープ

 まずは電源を入れずに飲んでみたところ、確かにやや水っぽく、塩気は薄めだ。電源を3段階でもっとも弱い「強度1」に設定して飲んでみると、明らかに塩気が増し、味が引き締まった印象を受けた。

photo 「強度1」に設定して飲んでみる。ボタンは1つで操作は分かりやすい

 2、3と上げるとさらに塩味は増したが、記者にとっては「2」でややしょっぱすぎると感じるレベルだった。一方で、隣席の他社の記者は「電源なしでも塩味は十分」「1にしても、あまり違いは分からなかった」とのことで、個人差はそれなりにあるようだ。キリンも「体感として効果を感じにくい人が1〜2割ほどいる」として、「強度を調整しながら試してほしい」と説明する。

 エレキソルト カップの仕組みは、カップ底面の電極から電流をスープに流し、口から体内を通って持ち手の電極に戻る電気回路を成立させることで、味の増強効果が得られるというもの。電流が循環しなければ効果は得られないため、「金属部分にしっかり指を触れさせ、1秒ほどかけてゆっくり飲むことが重要」と、開発担当の佐藤愛氏(ヘルスサイエンス事業部 新規事業グループ)は説明する。

photo 説明する佐藤愛氏

 個人的に良い点だと感じたのが“メカ感”の少なさだ。記者は以前、初代スプーンを使用したラーメンの試食会にも参加したのだが、その際はスプーンをスープに浸したまま麺をすする必要があり、食べながら「電気の流れを作り出すこと」を意識せざるを得なかった。一方で今回のカップは“電源を入れてゆっくり飲む”だけで効果を得られ、見た目も普通の食器に近い。日々の食事には、より取り入れやすいのではないかと感じた。

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