なお、佐藤氏によれば、ユーザーの声を受けて当初試作したのは「お椀型」のデバイスだった。しかし、お椀は持ち方や触れる部位に個人差があることから「電流が安定して流れる回路」を作ることが難しかったとのこと。最終的にカップ型に切り替え、誰もが自然に握る「持ち手部分」に電極を設けたことで、安定した効果の再現が可能になったのだという。
製品化にあたっては、美容家電メーカーのヤーマンが技術協力した。「顔に電気を流し、化粧水を浸透させる」という美顔器の技術は、「舌に電気を流す」エレキソルトと原理的に近いのでは――キリン側がそう着目したことがきっかけで協力が実現し、通電技術や防水設計、小型化のノウハウやデザイン性の高さをカップとスプーンの双方に取り入れたという。
ヤーマンの小島英明氏(開発本部 開発企画部)は「カトラリーは初の領域だったが、オーラルケア製品などを手掛けていたこともあり、これまで培った知見を生かせた。技術的な相性は非常に良かった」と話す。
エレキソルトの販売は公式オンラインストアで同日に開始し、11月以降はハンズやビックカメラなどでも取り扱う予定。2026年にはアジア圏での販売も視野に展開を進めるとしている。
キリンによれば、これらの技術は他の食器にも応用可能なもので、「他のバリエーションの開発も進めている」という。減塩の課題をテクノロジーの力で乗り越えるアプローチは、今後どこまで広がっていくだろうか。
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