ソフトバンクは9月18日、成層圏通信プラットフォーム(HAPS)向けに新たに開発した6セル対応の通信機器(ペイロード)で、地上のスマートフォンとの5G通信に成功したと発表した。高度3000mの軽飛行機に機器を搭載し、基地局とスマートフォン間の通信を中継する実証を行った。
HAPSは「空飛ぶ基地局」とも呼ばれ、高度約20kmの成層圏を飛行する無人飛行機に通信機器を搭載し、上空から地上へ通信を届けるシステム。新たなペイロードでは、HAPSと地上のゲートウェイ局を結ぶ「フィーダリンク」と、HAPSとスマートフォンをつなぐ「サービスリンク」を一体化した構成を採用した。
実験は6月、東京都の八丈島上空で実施。軽飛行機に開発したペイロードを搭載し、高度3000mに滞空させながら、地上の基地局とスマートフォン間のエンドツーエンドの5G通信を中継した。
通信エリアは、60度ごとに6方向に分けた「セル」(1つのアクセスポイントから通信可能な範囲)で構成。通信エリア内の受信レベルを測定したところ、飛行機が旋回しても、受信電力の高いセルが60度ごとに切り替わっていることが確認できたという。
通信性能の評価では、旋回の中心から15km離れた地点でも、下り平均約33Mbpsを記録。通信エリアの端においてもサービスリンク/フィーダリンクを介したエンド・ツー・エンドの5G通信が可能であることを確認したという。
ソフトバンクは今後、この実験で得られた結果やノウハウをもとに、大容量化といったペイロードの改良を進める見通し。
2026年には、日本国内でのプレ商用サービスを開始する予定だ。航空宇宙企業の米Sceye社が手掛ける、LTA(空気より軽い気体で飛行する機体)型のHAPSを活用する。大規模災害時の通信復旧や、山間部・離島といった既存のネットワークが届きにくい地域での活用を見込んでいる。
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