映画「国宝」が実写の邦画としては久々の大ヒットを飛ばしています。配給元の東宝の9月16日の発表によると、興行収入は142億7000万円、観客動員数は1000万人を突破したとのこと。とくに興行収入は国内歴代ランキングで19位、実写邦画の中では2003年公開の「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」に続く2位になっています(出典:興行通信社)。
以前から気になっていたものの175分という上映時間に尻込みしていたボクも、ついに劇場に足を運ぶことにしました。感想としては、今まで見なかったことを軽く後悔するくらいには大満足。それでも、約3時間という上映時間は長かったですけど。
ただ、映画の内容的には175分でも足りない印象を受けました。国宝のストーリーは、任侠の一門に生まれながらも歌舞伎の名門に引き取られ才能を開花させていく主人公の立花喜久雄の半生を中心に展開していきます。そして物語は彼の人生だけではなく、彼のライバルでもあり、名門の御曹司である大垣俊介との友情や俊介自身の生き様にもクローズアップしています。
しかし175分に収めるにはボリュームが多すぎたのか、ボクには全体的に駆け足かつ、喜久雄の生き様をしっかり描写しきれていない印象を受けました。個人的には喜久雄がもっと多くの人間を不幸にしながらも己の天賦の才で歌舞伎界を成り上がっていく展開を勝手に期待していたところもあり、その辺の描かれ方が弱かったのも残念ではあったのですが、これは完全にボクのイチャモンですね。
そういった不満はあるものの、それでも今作は作品としてのクオリティーが抜群に高いです。まず、喜久雄役の吉沢亮さんや俊介役の横浜流星さんをはじめとした役者の皆さんのお芝居が素晴らしかったです。どこをとっても演技派ぞろいで、繊細ながらも重みのある彼らの演技によって、あっという間に作品の世界に引きずり込まれます。
さらには歌舞伎のシーンをはじめとした映像美にも感動しました。特に歌舞伎のシーンは役者陣の素晴らしい演技と巧みな演出が合わさり、歌舞伎に明るくないボクも心震えました。
ストーリーに若干物足りなさはあるものの、全体的にとても高品質な今作に、ボクは邦画の底力を見た気がしました。まだまだ大ヒット上映中! まだご覧になってない方は必見の傑作だと思います。
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