メルカリは10月9日、価格の乱高下や不正出品などが多発する商品について、今後出品禁止対応を取る方針を発表した。ゲーム機「Nintendo Switch 2」の出品を巡る問題をきっかけに外部有識者と議論した結果、これまでの方針を改めるに至ったという。例えば「新方針においては、Switch 2は発売時に出品禁止の対象になる」(同社)という。
空箱の出品や正規品との誤認を狙った出品や価格の極端な乱高下、利用者への誹謗(ひぼう)中傷の多発などが見られ、ユーザーの安全が損なわれる恐れのある商品については、同様の問題の増加状況などを総合的に考慮し、出品禁止などの対応を取るという。一連の対応は発売前に限らず、発売後でもユーザーの安全を損ねるような動きがあった場合にも行う可能性がある。
同社は2020年、「安全であること」「信頼できること」「人道的であること」を前提に自由な取引が可能なマーケットプレースを目指すとする基本原則を、外部有識者との協議を経て策定。以降は基本原則に基づきサービスを提供し、これらの反する場合のみ取引を規制する方針を取っていたという。
例えば21年のマスク・消毒液の取引規制や、25年の備蓄米の出品制限は「生命身体の安全や健康の維持に関わる必需品であり、できるだけ早く多くの人に届けられるべきにもかかわらず、供給が著しく不足している」状況を踏まえ、自由な取引が「安全であること」を阻害するとして、取引の制限に至ったとしている。
しかしSwitch 2については、不正出品や誹謗中傷が相次いだものの、基本原則の考え方では介入ができなかったと同社。策定から5年が経ったこともあり、新たな方針の策定が必要になったと判断。Switch 2発売時の対応などについて外部有識者と意見交換するに至った。
例えばメルカリはSwitch 2の発売時、基本原則に違反しないことから、箱だけの販売など規約違反の出品は削除するものの、出品自体を禁止にはせず、ユーザーへの注意喚起などを行うといった対応を取った。これに対し、有識者からは「基本原則の運用の観点から評価できる」との評価があったものの、「メルカリでのSwitch 2の流通量が総販売台数に対して軽微であったとしても、会社の評判を守るという観点からは、別の対応もあり得たかもしれない」といった反応があった。
他にも「株式市場などでは、価格が急数に変動した際に取引を一時停止する仕組みがある。これを参考に、一時的に出品価格に上限を設ける程度の対応であれば、基本原則の範囲内で、マーケットプレースとして当然できるのではないか」との意見もあった。
これらの議論を踏まえ、同社はSwitch 2については出品禁止の対応が妥当だったと判断。さらに今後同様の対応を可能にするため、基本原則に例外を設けると決定した。これにより、基本原則に違反していなくても、空箱の出品や正規品との誤認を狙った出品や価格の極端な乱高下、利用者への誹謗(ひぼう)中傷などが相次ぐ場合は、出品禁止を検討するに至った。
新たな方針を巡っては、その透明性を高めるとして、意思決定の経緯を説明したホワイトペーパーも公開している。
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