シンプルにいえば、teppayについてサービスの中身が現時点で何もできていないからだ。
記者発表会の場では全記者にteppayの画面遷移が確認可能なモバイルSuicaならびにモバイルPASMOがインストールされたスマートフォンが配布されたが、これはあくまでデモンストレーション用の端末であり、一部の機能体験ができるに過ぎない。バックエンドのシステムをはじめ、実際のアプリの作り込みなどはこれから行う段階であり、その前に大々的に記者発表を行ったということになる。
ここで改めて「なぜ1年前のこのタイミングで発表したのか」という話になるが、世間的にサービスをアピールしつつ、JR東日本の社内向けには「プロジェクトの"おしり"を決めたから、あとは頑張って作れ」という鼓舞的な意味合いがあると思われる。
筆者の複数の情報源によれば、実際にプロジェクトは概要の部分を除いて詳細はまだ固まっておらず、今は現場の担当者らが必死に擦り合わせや開発を進めている段階のようだ。例えるなら、スタートアップ企業が資金集めを行うために製品やサービスの"モックアップ"を作成し、出資候補者らを前に先行プレゼンテーションを行い、資金を得たタイミングで一気に開発に取りかかるといった様相だが、teppayの現状のステータスはこれに近い。
teppayがモバイルSuicaのテコ入れプロジェクトの位置付けに近いのに対し、他のサービスとの連携が現在のところあまり考慮されていない点も気になる。現在JR東日本はグループ内で分散して存在している"ユーザーID"を「JRE ID」に統一する作業を進めており、現在モバイルSuicaでもJRE IDへの移行を促すメッセージが表示される。
一方で、今回のteppayでは「teppayポイント」が「JREポイント」とは独立して存在していたり、同社のチケット予約管理アプリである「えきねっと」との連携が行われておらず、teppay残高から直接切符を購入できなかったりなど、teppayリリースを優先する形でグループ内連携の部分がおざなりに見える部分がある。
このように突貫工事に近い部分は見えるものの、実際にサービスインした後はその利用開始のハードルの低さから、一定程度のシェアは獲得できる可能性が高い。他方で、全国区で利用できるかという側面で考えれば、当初teppayが利用可能な主要な加盟店はJR東日本の"エキナカ"店舗に加え、各種主要チェーン店などが中心になるとみられるため、PayPayなどの利用場面に比べれば活躍する場は限られる。
teppayが広く受け入れられるかは、1年後のサービスインからのさらなる機能改善に加え、ユーザーに「あえてteppayを使うメリットは何か」というのをいかに示せるかにかかっている。
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