走り始めると挙動はかなり自然だった。ショッピングモールのライドシェアプールから出発したので人通りが結構あったが、歩行者が近づくと瞬時に止まり、渡り切るとすかさず加速する。「判断が早い!」と口にしたほどだ。横断する歩行者がまばらにいると加速とブレーキを繰り返してギコギコする時もあったが、全体的に人間らしい動きだったのには感心した。
Zooxは自動運転だけでなく、例えば工事現場に遭遇するなど人の介入が必要と判断した場合は遠隔運転に切り替わる。ただ、今乗っているのがどちらの運転だったかをあまり意識することはなく、加速・ブレーキだけでなくコーナリングや車線変更も含めスムーズな乗り心地だった。走行スピードは速く、車の流れを乱すようなこともなかった。体感だが60〜70km/hは出ていたように思う。
手元のディスプレイから、車内のBGM、空調などを変更できるので、一般的なタクシーやライドシェアと違って、よりパーソナルな空間に感じる。同乗者と気兼ねなく会話できるのも大きなメリットだ。ディスプレイは他にも、到着までの残り時間、緊急呼び出しなどにアクセスできる他、Qiのワイヤレス充電器やUSB Type-Cポートもあるので、スマホの充電も可能だ。
目的地に到着すると「Finding the best place to stop」と表示され、到着に最適な場所を探していた。停車すれば「Open door」をタップし、降車してライド終了となる。この時は「New York New York」というホテルのフロント、ピックアップしにきたクルマが通るど真ん中で降ろされたので、左右を見ながらそそくさと歩道に移動した。この辺は人の運転の方が融通を効かせてくれる部分だろう。
道路が広い米国かつ、乗れる場所が限られているテスト運用ではあるものの、思った以上に乗り物として仕上がっていた。公共交通機関でここまでパーソナルな移動体験を感じられたことは今までなかった。自動運転で想像しがちな「もたつき」もなく、夕方になると渋滞がひどくなるラスベガスでも、グイグイ走っていく印象だった。
もちろん制約もある。例えばCES会期中、会場の1つであり非常に混むVenetian Convention and Expo Centerの乗降車場には乗り入れがなく、みんな近くのWynnで乗降していた。タクシーと呼ぶには制限が多く、どちらかというと「パーソナルなオンデマンドバス」に印象は近い。この辺は正式サービス開始時に改善されるものと思われる。
いっそパーソナルなオンデマンドバス形式であれば、日本でも実現可能性が高いように思えた。ロボタクシーを日本で展開する際に課題として挙げられるのが、複雑な交通状況だったり入り組んだ小さな路地への対応だが、ある程度の幅がある道路を中心に運用するのであれば、トラブルも少なく出来そうだ。
日本ではロボタクシー筆頭のWaymoが参入を発表している。24年12月に日本交通、GOとの戦略的パートナーシップを締結し、25年4月から東京都心の7区でテスト走行を開始した。
現時点ではWaymoのトレーニングを受けた日本交通の乗務員が手動運転でデータを収集している段階だが、遠くない将来にラスベガスと同じ体験が身近でできるようになる。そんな日を待ち遠しく感じさせるテストライドだった。
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