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「中国製三脚」が問いかけてくる現実 6万円台のビデオ三脚を使って見えた、市場の転換点小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/3 ページ)

» 2026年02月20日 17時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 前回のコラムでは、三脚のようなレガシーなデバイスでさえも近年改良が続き、多くの新機能が搭載されるようになったという動きをご紹介した。具体的には脚部はシングルロック、ローアングル対応という流れが強化され、またヘッド部もより軽量なカメラに対応できるようカウンターバランスが再設計されるなど、撮影トレンドの変化が見て取れる。

 従来はここまでしかできません、それ以上は別の三脚を使ってくださいというすみ分けが行われてきたところ、1台で多くのシーンに対応できるようなマルチ化が起こった背景には、中国製の三脚が低価格・多機能を武器に力を付けてきたことが挙げられる。

 筆者もこれまで、中国製の三脚は使ったことがなかった。またコラムでは取り上げたものの、「SmallRig x Potato Jet TRIBEX SE」は日本語のレビュー記事がほぼなかったので、品質がよく分からない。そこで実際に購入して、どのような製品なのかを調査してみることにした。

実際に購入したSmallRig x Potato Jet TRIBEX SE

アルミ採用で低価格に振った2世代目モデル

 もともと中国SmallRigという会社は、カメラに取り付けるグリップやリグなどを得意としてきたメーカーで、そこから徐々に幅を広げて撮影関連の機材全般を手掛けるようになった。

 SmallRig x Potato Jet TRIBEX SE(以下TRIBEX SE)は、カーボン脚だった前モデル「SmallRig x Potato Jet TRIBEX」(以下TRIBEX)から、脚部を廉価なアルミに変えてコストダウンしたモデルとなる。前作が日本円で13万9890円だったところ、6万6890円と約半額に価格を下げてきた。

 TRIBEX SEの重量は3.7kgと、それほど軽量というわけでもない。とはいえ前作のTRIBEXもカーボンの割には3.8kgだったので、ほぼ同じである。ヘッド部分を軽量化することでだいたい同じ重量になるように調整したものと思われる。

 筆者が普段使っているのは、伊Manfrottoのヘッド「MHV500AH」と、脚部「055MF3」である。ヘッドは現行品ではあるがもう10数年前のモデル、脚部はすでに販売終了しており、組み合わせ的にはかなり古い。ただ重量は全体で3kgと、まずまず軽量である。

 これと比較してみると、TRIBEX SEは構造がよく似ている。スプレッダなしで開脚が3段階に変えられることや、センターポールがあり高さが稼げるといった共通点があり、ヘッドの付け替えでビデオと写真のどちらにも対応できる。

左がManfrotto、右がTRIBEX SE

 まず脚部を全部折りたたんだ状態では、TRIBEX SEが数センチ低い程度である。脚部とセンターポールを最大に伸ばした場合でも、この差は同じままだ。

最大高もだいたい同じ差

 脚部を全部縮めた状態で、ねじりに対する強度を比較してみた。Manfrottoはかなり古い製品だが、ねじり耐性が強く、ほとんど動かない。一方TRIBEX SEは、微妙にねじれが発生する。このぐらいは許容範囲と見るかは撮影用途にもよるだろうが、ねじれ耐性は三脚の重要な基本性能なので、ある意味ここがコストにつながってくるところである。

ねじれ耐性をテスト

 一方で最低高はかなり異なる。このタイプの三脚は、脚部をめいっぱい開いてもセンターポールがあるために、最低高が下げられないというデメリットがある。実際同じようにセッティングしても、数センチの高さの差はそのままだ。

最低高の比較

 しかしTRIBEX SEは、センターポールを途中で外すことができる。横の六角ネジを2回ほど回すと、ポールが外せるのだ。また六角レンチもヘッド部分に収納できるスペースが設けられているなど、気が利いている。

センターポールが外せる構造
ヘッド部分に六角レンチが収納できる

 センターポールを外すと、ほぼヘッド部の高さだけになるので、ハイハットによる撮影とほぼ同等の高さまで下げられる。いちいちネジを外すは面倒ではあるが、ネジは完全に外れるわけではなく、緩めても脱落しないようになっている。このあたりも細かい配慮が伺える。

かなりのローアングルに対応できる

 またセンターポールを下ろす時も、指を挟まないよういったん途中で止まるように設計されている。ポールを回転させるとうまくはまる箇所があるので、そこで初めて全部下がるという作りになっている。

センターポールの下ろす時に段差が設けられている

 一方Manfrottoにはそのような指はさみ防止機能はないが、脚部とポールのつなぎ目がボール状で持ちにくくなっており、わざわざここを持つ意味がない。デザインで事故を防止するか、機構で事故を防止するかの思想の違いが見て取れる。

Manfrottoはわざわざここを持つ必要性がない
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