「でも、試作アプリでアバターの動きをつけてしゃべってみると、やっぱり気持ちいいんです。開発ミーティングもPOPOPOのプロトタイプで行っているんですが、たまにアプリがバグって使えない時にGoogle Meetでやると、つまらなくてガッカリするんです」
Google Meetなどのビデオ通話アプリは、お互いの顔が正面からリアルに表示されるため気恥ずかしさがある上、相手と自分の顔が別々の枠に表示される。
一方でPOPOPOは、双方がアバター姿。身だしなみや視線も気にならない。アバター同士は同じ空間を共有しており、「気持ちいい」カメラワークで映してくれる。
「POPOPOの画面だと、全員が同じ空間にいるように脳が錯覚する」(MIRO氏)のが楽しさの秘訣だ。用件がなくても、黙っていても、ただ一緒にダベるなど、「通話するというよりは、同じ空間で音声で繋がるという体験にしたい」とMIRO氏は話す。
ここまで聞いても、「VRサービスは成功させるのが難しい」というイメージを抱き続ける記者に、川上氏は、「流行るかどうかは(VRかどうかではなく)プロダクトで決まる」と説く。
「VRを“バーチャルなもの”と定義するなら、(歴史シミュレーションゲームの)『三国志』や『信長の野望』もVR。だから『VRだからダメ』というのは、議論が転倒していて、『POPOPO』にニーズあるかどうかだけの話です」
ひろゆき氏は「VRは、ゲームからゲーム要素を抜いたもの」と表現する。
「ファイナルファンタジーからゲーム要素を抜いて、3Dキャラを動かして遊んで下さいと言われても、ほとんどの人は5分で飽きるだろう。VRは、メインではなくて演出。コンテンツは別にあり、POPOPOは演出として“VR的なもの”を使うというだけです」
川上氏は20年前、ひろゆき氏と川上氏がタッグを組んで「ニコニコ動画」開発し、成功させた実績がある。ただ当初、川上氏は「動画の上にコメントを重ねるなんて、元の動画の冒とくで、ひどいサービスだ」と感じ、文字のオーバーレイを一時期、やめさせようとしたそうだ。
だが、その実装が完了する前に「コメントがだんだん気持ちよくなってきた」瞬間があり、その時に「成功を確信した」という。
「最初は『違う』と思っていたものが、生理的な気持ちよさになる。POPOPOも同じ要素があり、声だけだとちょっと寂しい」(川上氏)。
音声に3Dアバター映像を重ねるという感覚の「気持ちよさ」がPOPOPOのキモであり、「これを気持ちいい認識してもらうまでどう使ってもらうかが、今回の仕事だと思う」と川上氏は考えている。
通話やSNSといったコミュニケーションアプリは、競合が多い。LINEは通話もテキストチャットもでき、ビデオ通話時に自分の姿を変えることもできる。その市場に食い込めるのだろうか?
川上氏はLINEとの競合について「正面で競争しても、勝てないのは当たり前」と認めつつ「若い世代は、プラットフォームを変えたがる」ことに勝機を見る。
若年層は、LINEもインストールしているが、TikTokやInstagramのDMなど、別のプラットフォームでもDMをやりとりする。「テキストコミュニケーションの場としてはLINEの方が快適なのに、若い人は新しい場を欲しがる。POPOPOも、世代ごとに使われる可能性はあると思います」
ひろゆき氏はLINEを「テキストが強いツール」と分析した上で、その強みはスタンプにあるとみる。一方で「スタンプは全てを伝え切ることができない」と話す。
「手でテキストを打つのが面倒な人もいるし、スタンプで『ご飯を冷蔵庫に入れといたか、電子レンジで温めて食べてね』といった複雑な内容は送ることができない。僕の感覚だと、日本人の3割ぐらいは、文字書くのも読むのも好きじゃないと思います」
確かに、テキストだとまどろっこしくなるが、電話ならすぐに話が終わる用件もある。テキストのやりとりはニュアンスが伝えづらく、誤解を招いたり終わり時が難しい、といった側面もある。
「人とつながっているという感覚は、音声の方がテキストより強い。人類は数十万年前のサルの時代から音声会話の歴史を積み上げていて、テキストの数千年の歴史よりずっと長い。音声の方が実は、ツールとしての需要は強いんじゃないかなと」(ひろゆき氏)
音声サービスという観点では、「電話とラジオはまだまだニーズがある」と川上氏。「そのアップデートをしましょう、ということです」(川上氏)
川上氏によるとPOPOPOはまず、著名人による生放送アプリとして強く打ち出していくという。
Gackt氏が配信しているところに、ひろゆき氏が入ってきて通話し、その様子を一般の人が見る――といった、音声SNS「Clubhouse」でかつて起きたような著名人同士の交流を起こし、ユーザーを集めていくイメージだ。
実際、18日夜には、メディアアーティストの落合陽一氏の配信に、編集者の箕輪厚介氏が参加し、その様子を500人以上が視聴するというシーンがあった。落合氏は大トロの寿司、箕輪氏はエビの寿司姿で語り合っており、姿を変えることによる気楽さが伝わってきた。
著名人による配信の吸引力でユーザーが増えれば、次の段階として、無名の面白い話し手がファンを集めたり、ユーザー同士の個人通話も増えていく、といった流れが想定できる。
今回、Gackt氏や佐藤健氏、庵野秀明氏など著名人を招いた大々的な発表会を行ったことで多くの媒体で報道され、認知を拡大。AppStoreでは18日夜に無料アプリランクキング1位を獲得した。
プロモーションとしては、POPOPOで1分間通話するだけで抽選で1人に1億円が当たるキャンペーンを実施している他、ネットCMや屋外広告なども展開して一気にユーザーを増やし、早期に100万ユーザーを目指す。
「4月末ぐらいまでには100万ユーザー行きたいですね」(川上氏)
サービスからの収益は、ホロスーツ(アバター)の販売や月額制の「プレミアム会員」、投げ銭などから得る計画だが、早急な収益化は求めておらず、ユーザー獲得を優先していく。
海外展開も視野に入れる。「音声がメインで、文字を使わなくても利用できるツールなので、識字率が高くない国でのニーズは、日本より大きいのでは。マーケットとしては海外の方が大きいと思っています」(ひろゆき氏)
グローバルでどれぐらいのユーザー数を獲得できると踏んでいるのだろうか。川上氏は「どれぐらい行けるのか、知りたいですよね」と笑う。
「音声コミュニケーションの市場は今、空いてると思ってるんです。POPOPOのパッケージだったらいけるんじゃないかと思って僕らは作ってます。それがどの程度正しかったのか、汎用性のある答えだったのかって、知りたいですよね」(川上氏)
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