映画視聴では「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」や「劇場版・幼女戦記」、そして「超かぐや姫!」などの音響にこだわった作品を視聴しました。100mmドライバーが震わせる空気の層が、まるでスピーカーで聞いているかのような奥行きを再現します。音が自然に広がり、音響が良いとされている劇場で映画を見ているかのような感覚に陥ります。
音楽視聴においても、その実力はいかんなく発揮されます。スマホとUSB Type-C接続でAmazon Musicなどのストリーミングサービスを試聴しました。SD音質とUltra HD音質の差がはっきりと分かるのは当たり前で、ワイドな音はよりワイドに、タイトな音はよりタイトに。「生っぽいものはより生っぽく、デジタルな音はよりデジタルに」聴こえる臨場感は、まさに圧巻。例えば「ドラムというのはこんなにいろんな音が出ているのか」とびっくりする人もいるかもしれません。そして、その多層的な音が臨場感を強化してくれるのです。
冒頭で投げかけた問いに戻ります。ある程度の音質の音響セットを組もうとすれば、スピーカー本体、アンプ、ケーブル、設置スペースと、それなりの予算と場所が必要になります。ROG Kitharaは、その体験を、この価格でデスクの上に持ち込みます。ゲーミングヘッドセットとしては値段が高めなのは確かですが、自宅にこのレベルの音響環境を作る投資として見れば、この価格は明らかに安すぎるのです。
そして、もう一つの意味にも触れておきましょう。ゲーミング市場が、ついに平面磁界駆動レベルの音質を求め始めたということなんですね。しかも、それは単に高音質を求めたということではなく、今時の3D空間のゲームでは、高音質であることは、実際にプレイ体験を左右する要素でもあるのです。これは、ゲーマーとオーディオマニアの境界線が消え始めた瞬間と言っていいかもしれません。
ROG Kitharaは、ゲーマーに“本物の音”を、オーディオファンに“最新の利便性”を突きつけます。手に入るのは、単なるヘッドセットではありません。100mmの膜が震えるたびに、PCのデスク上が映画館になり、ライブ会場になるデバイスなのです。
最後に、個人的な感想を少し。私は自分の作業環境に、それなりの音響システムを組んでいるので、正直なところこの製品はなくても生きていけます。それでも、試聴した時から欲しくてうずうずしている状態です。それほど、これは音好きにはたまらない製品なのです。
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