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なぜ「BeReal」から漏えいが相次ぐのか “2分以内”の焦りが生む不用意な投稿(1/2 ページ)

» 2026年05月01日 09時00分 公開
[岡田有花ITmedia]

 フランス発のSNS「BeReal」(ビーリアル)を通じた情報漏えいが相次いでいる。

 この春には、西日本シティ銀行の行員がBeRealに投稿した支店内の映像から顧客情報が流出した他、仙台市立小学校の20代女性教員が業務システムの画面を投稿して問題になった。それぞれの投稿は、閲覧した人などを経由してXに転載され、非公開情報が数百万人規模で閲覧されてしまった。

 BeRealがなぜ漏えいにつながるのか。

 アプリそのものは楽しいコミュニケーションツールでしかない。だが、「投稿を焦らせるUI」と「友人しか見ていない」という油断が、不適切な使い方につながっていそうだ。

画像 BeReal(AppStoreの紹介ページより)

友人限定の写真SNS、「2分以内に今を投稿!」通知が焦り生む

 BeRealは2020年にフランスで公開され、24年6月にゲーム企業Voodooが5億ユーロ(約840億円)で買収した。全世界のアクティブユーザーは2025年時点で4000万人を超えているとされ、日本では2023年ごろから、10〜20代を中心にブームになった。

 1日1回、ランダムな時間に届く通知から2分以内に撮影・共有するのが原則。通知には2分間をカウントダウンするタイマーが表示され、「早く投稿しなくては」と焦らせてくる。

画像 通知が来るとともに、2分のカウントダウンが始まる。焦る

 2分以内に投稿すると「ボーナス」として当日の投稿可能数が増える。2分を過ぎても投稿はできるが、「○時間遅れ」と表示される。撮り直した回数も表示されるため、“2分以内の一発撮り”で決めたい、という心理が働く。

 投稿は1日で消え、公開範囲は原則、友人(または友人の友人)に限られる(投稿ごとに設定すれば、全ユーザーへの公開も可能)。自分が投稿しなければ友人の投稿も閲覧できないため、「早く投稿して友人の写真を見たい」という焦りも出る。

 写真は自撮りカメラと背面カメラを使って2枚同時に撮影され、加工したり、アルバムから過去写真を投稿したりできない。「映え」を競うInstagramなどとは対照的に、飾らない日常をリアルタイムに共有するコンセプトだ。

「BeRealがなければ撮らなかった」自然な写真が残る

 筆者は一時期、毎日投稿するほどハマっていた。意外なタイミングで慌てて撮ることで、意識していない自然な日常を記録できることや、それを撮っている“自分”が映るのが面白かったのだ。

画像 意外なタイミングで通知が来るので、ふだんは撮らない"ただの日常”が残せる

 通常の自撮りと違い、写りを確認しながら撮れないぶん、構えない"いつもの顔”が残せるし、楽しいシーンだと自然な笑顔が残せる(写真の場合。動画は自撮りも確認しながら撮影できる)。自分が撮影・投稿すれば、同じように自然な姿の友人も見られるのも面白い。写真の背景から、友人が今どのあたりにいるのか分かるのもうれしく、リアルタイムに繋がっている感覚になる。

 自分の投稿履歴はカレンダーで振り返ることができる。外向けのSNSの投稿内容と違い、特別なイベントや美味しそうな料理ではなく、「たまたま撮ったリアルな日常」……スーパーのエスカレーターを上っているところや、駅構内で歩いているところ、電子レンジを開けたところ……などを振り返るのも楽しい。

画像 カレンダー機能。きれいに撮れた写真だけアップするInstagramなどと違い、仕事中に撮れるものがなく画面の白いところだけ撮った写真や、味噌汁を作っている最中の写真などが並ぶ

「すぐ撮らなきゃ」の焦りと、「消えるから大丈夫」の勘違い

 日常で使う分には問題ないようにも思えるBeRealだが、不適切投稿につながりやすい面はある。急に来た通知に反応して「2分以内に撮らなくては」と焦らせる構造と、「友人しか見ていない」「1日で消える」という安心感があいまって、リスクのあるシーンでも「とりあえず投稿しちゃえ」という油断につながりやすいのだ。

 実際、BeRealで流出を起こした仙台市立小学校の教員は「通知が来たので、深く考えずに目の前の画面を撮影してしまった」と話していると報じられており、“2分以内”の切迫感が焦りにつながっている。

画像 焦りを煽る通知。もちろん、オフにもできるのだが……

 通知に誘発された場をわきまえないBeReal撮影が問題になったのは、今回が初めてではない。

 2023年秋ごろには、「BeRealのせいで、大学の授業中やバイト中に突然シャッター音が聞こえて不快」という声がSNSなどで見られ、24年ごろには問題として報道され始めている。10代後半からBeRealを始めた世代が大学生になり、社会人になることで、問題が少しずつ上の世代に上がってきているのだろう。

 焦りから解放されたければ、通知をオフに設定すればいい。投稿数は限られてしまうものの、自由なタイミングで落ち着いて撮影でき、写真日記のような感覚で更新できる。ちなみに筆者は、通知オンにしつつも、その時間に撮れない場合は気にせず、後から撮っていた。“LINEの通知があっても即レスしない”感覚に近い。

「友達しか見ない」の勘違い

 「友人しか見ていない」「1日で消える」BeRealの仕様は、Instagramのストーリーズも同じだ。ストーリーズからも、企業の情報漏えいが相次いでいる。

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