近年、航空機からレーザーを発射して地上を測量する“航空レーザー測量”によって得られた詳細な地形データが国や都道府県からオープンデータとして一般公開される動きが進んでいる。これらのデータを活用して考古学・歴史学の研究家や一般のファンが古墳や山城などの遺跡を探し、新たな遺跡が見つかる事例があるほか、AIによる解析で遺跡の可能性がある場所を特定する取り組みも行われている。
奈良文化財研究所(奈文研)の高田祐一主任研究員の研究グループは、2020年に兵庫県がオープンデータとして公開を始めた高精度な3次元の地形データを活用し、AIによる分析で古墳を発見する研究を21年ごろに始めた。文化財行政において遺跡の把握は重要であるが、開発事業がない限り遺跡の調査は行われにくく、とくに山中の調査は労力がかかり危険でもあるため、遺跡が未発見の箇所が多い。そこで、地形データやAIを活用することで未知の遺跡を効率良く発見する手法を確立することで、歴史研究を加速させ、文化財保護にもつなげる狙いだ。
高田氏のグループは、地形データをもとにGIS(地理情報システム)上で未知の遺跡と思われる候補を自動抽出して、それをもとに現地調査することで遺跡を新発見する手法を研究した。進め方としては、まず前方後円墳や円墳など古墳の形を特徴形状としてAIの教師データを作成した上で、地形データを解析して新発見の遺跡の候補を抽出する。
教師データの作成などAI関連の作業については、GISソリューションを提供するMIERUNE(北海道札幌市)に委託して、同社のエンジニアと協力して試行錯誤しながら行った。良好な解析結果が出るまでには多くの失敗があったという。初年度(21年度)は1mメッシュのDEM(数値地形モデル)の機械学習を行って解析を行ったところ、誤検出はあるものの、十分な学習サンプル数があれば古墳を識別できる可能性があることが分かった。
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