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「買うならお早めに」が悲痛な叫びに変わった年末 猛暑の後に“価格高騰”の寒波が襲った2025年PCパーツ街2025年のアキバまとめ【前編】(1/4 ページ)

年初に販売開始となったGeForce RTX 5090カードは極端な枯渇が続き、普通に買える状態まで半年近くを要した。そして、秋から始まったメモリを中心とする価格高騰と供給不足は、正常化にさらに長い時間がかかると言われている。それでも街は生きている。

 2025年が明けたPCパーツ街では、間もなく販売開始予定の大物パーツを待ち望む空気がハイエンドユーザーの間で広がっていた。NVIDIAの次世代ハイエンドGPU「GeForce RTX 5090」と「同RTX 5080」を搭載したグラフィックスカードだ。

各年のアキバまとめ

1月末――待ち望まれたGeForce RTX 5090/5080カードの店頭販売中止

 予定通り1月30日午後11時に販売解禁となり、深夜販売を実施するショップもあった。しかし、予想外の人数が集まり、ルールを守らない一部の人間が近隣の幼稚園の柵をまたぐなどの問題行動を起こしたため、販売イベントは中止となった。

 このトラブルを受けて、翌朝からの店頭販売を予定していた他のショップもオンライン販売のみに切り替えるなどの措置をとった。BTOパソコン売り場にはGeForce RTX 5080を搭載したモデルも並んでいたが、カード単品のパッケージを売り場で見かけることはしばらくなかった。

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TSUKUMO eX.の入り口に貼られた告知。1月31日昼に撮影

同じく、ドスパラ秋葉原本店の立て看板。1月31日に撮影

 当時、あるショップは「GeForce RTX 5090/5080カードがもっと潤沢にあって、周辺国も含めてもっと普通に手に入る状況だったら、ここまでの騒動にならなかったわけで。取り扱う商品の怖さを改めて感じました」と話していた。

 この1年と少し前、前世代の最上位GPUであるGeForce RTX 4090を搭載したグラフィックスカードも米国が中国に輸入制限をかけたために、その需要が海を越えて日本にも押し寄せてきた。今回の騒動は、そのときの過剰な需要がさらに過熱した結果だとみる声が多かった。

 余波は広がっていく。2月28日にPCゲームの人気シリーズ最新作の「モンスターハンターワイルズ」が販売されることもあり、年末から品薄傾向が進んでいたGeForce RTX 4070 Ti SUPERやRTX 4080カードだけでなく、Radeon RX 7900 XTカードの在庫も払底するショップが相次ぐようになった。

 そうした中で、2月中旬にはRTX 5080の1つ下のGPU「GeForce RTX 5070 Ti」を搭載するカードの販売が始まったが、店頭に並べるショップはなかった。話題の新製品はオンラインでのみ販売するのが一時的にスタンダードとなった感がある。


2月中旬、パソコン工房 秋葉原パーツ館のグラフィックスカード売り場の棚

2月下旬、パソコンSHOPアークの扉に貼られたGeForce RTX 5070 Tiカードの販売状況を伝えるPOP

 回復の兆しは、3月に入ってようやく見られるようになった。NVIDIAの新GPU「GeForce RTX 5070」搭載カードと、AMDの新GPU「Radeon RX 9070 XT」と「同RX 9070」搭載カードが連続で販売開始となり、一部のショップが店頭販売を敢行している。

 Radeon RX 9070 XT/9070カードのみ店頭販売を実施したパソコンSHOPアークは、午前11時半からの整理券配布方式の販売を予定していたが、行列が100人近くとなったため抽選方式に急遽変更して対応したという。機転によって滞りなく初回分を売り切ったが、反響を読み切るのはまだ難しい空気が漂っていた。


Radeon RX 9070 XT/9070カードの店頭販売を告知するパソコンSHOPアークのPOP。3月初旬撮影

どちらのカードも、店頭販売を回避する傾向が多く見られた。同時期、TSUKUMO eX.のPOP
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