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選択肢が広がる低価格ミニPC──「HP Pavilion Notebook PC dv2」の実力を試す元麻布春男のWatchTower(1/3 ページ)

日本HPが、安価なNetbookと高価なモバイルPCの中間を狙って投入したのが「HP Pavilion Notebook PC dv2」だ。大画面液晶と外付けGPU搭載モデルの実力は?

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AMDがリリースしたYukonプラットフォームを採用

「HP Pavilion Notebook PC dv2」の上位モデル

 2007年末の登場以来、アッという間に市場の一角をつかんだNetbookは、「軽量・小型のモバイルノートPCは日本以外に市場がない」という、それまでの常識を覆した。軽量・小型・安価なPCであれば、日本以外にも市場性があることを証明したのである。当初からNetbookの市場として考えられていた新興国市場はもちろん、成熟市場と考えられていたヨーロッパでもヒットしたことが、PC市場に大きなインパクトをもたらした。

 もちろん、安価にすることの代償として、Netbookは若干の性能的なペナルティーを負うことになった。しかし、それでも構わないというユーザーの数は、PCベンダーやNetbookにCPUを供給するインテルが考えていたより多かったのである。

 性能は最先端でなくてもよいから、軽量・小型で安価なPCを、という市場の声に応えるようにAMDがリリースしたのがYukonプラットフォームだ。Athlon Neo MV-40(動作クロックは1.6GHz)とAMD M690Gチップセットで構成される。TurionやCore 2 Duoを用いた一般的なノートPCと、AtomベースのNetbookの中間を狙ったもので、2008年11月のAnalyst Dayで明らかにされ、2009年1月に米ラスベガスで開かれた「2009 International CES」(Consumer Electronics Show)でお披露目された。

 Athlon Neo MV-40は、2008年11月時点ではHuronという開発コード名で呼ばれていた、K8アーキテクチャに基づくシングルコアCPUだ。65ナノメートルのSOIプロセスで製造され、プラットフォームの軽量・小型化に合わせて、薄型のBGAパッケージを採用する。チップセットのAMD M690Gともども、開発期間を短縮するために、組み込み用途向けのAthlon 64プラットフォームをベースに開発されたものと思われる。このプラットフォーム向けには消費電力がやや大きい(TDPは15ワット)が、512Kバイトの2次キャッシュやAMD-Vを含め、Athlon 64(K8アーキテクチャ)のフル機能を備えている。

CPU-Z 1.50の画面。65ナノメートルのプロセスルール、1.6GHzの動作クロック、512Kバイトの2次キャッシュといったスペックが分かる

2GバイトのDDR2 SDRAMメモリ(PC2-6400対応)が採用されている(写真=左と中央)。メモリスロットは底面に1基だけある(写真=右)

スペックの異なる直販モデルと量販店モデルをラインアップ

黒モデルのGPU-Z 0.3.4画面。GPUにATI Mobility Radeon HD 3410を搭載する

 このYukonプラットフォームを初めて採用したのが日本ヒューレット・パッカードの「HP Pavilion Notebook PC dv2」だ。価格を7万3500円(同社直販価格、配送料別、オフィスなしモデル)に抑えながら、Netbookより一回り大きな12.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載、ボディにも軽量と堅牢性の両立を図りマグネシウム合金を採用した。ボディカラーはツヤのある黒で、同社がZEN-design「kirameki」と呼ばれるデザインパターンが描かれている。

 機能的に見た最大の特徴は、このクラスとしては珍しい外付けGPU(ATI Radeon HD 3410)を搭載すること。NetbookではASUSのN10シリーズを除き、まず存在しない。一般のノートPCでも低価格帯で外付けグラフィックスを採用するのは極めてマレだ。Radeon HD 3410の搭載に合わせ、本機にはHDMIポートが用意されている。

 日本HPは5月13日、ここで紹介する直販モデルに加えて、量販店向けの店頭販売モデルを追加発表した。こちらは、ボディカラーが白(ZEN-design「asagiri」)になるほか、OSをWindows Vista Home Basic(SP1)にダウングレードし、チップセット内蔵グラフィックスを採用し、HDMIポートやBluetoothが省略されるといったスペックダウンが行われる。HDD容量も半分の160Gバイトになるうえ、無線LANもIEEE802.11b/gで外付け光学ドライブも付属せず、Netbook並みのスペックになる代わりに、価格も6万円前後になる見込みだ。絶対的な価格の安さで量販店モデル、機能や性能に対するお得感では直販モデル、というすみ分けである。

直販モデルはパームレストにZEN-design「kirameki」を採用したブラック(写真=左と中央)、量販店モデルはZEN-design「asagiri」を採用したホワイトとなる(写真=右)

HP Pavilion Notebook PC dv2 夏モデルの主なスペック
モデル HP Directplus直販モデル 量販店向けモデル
カラーリング kirameki(黒) asagiri(白)
CPU Athlon Neo MV-40(1.6GHz)
チップセット ATI Radeon Xpress 1250
メモリ 2GバイトDDR2-533(2GバイトDIMM×1/最大4Gバイト)
HDD(2.5インチ) 320Gバイト(5400rpm) 160GB(5400rpm)
光学ドライブ USB外付けDVDスーパーマルチ −(オプション)
グラフィックス ATI Mobility Radeon HD 3410 チップセット内蔵(ATI Radeon X1250)
ディスプレイ 12.1型ワイドWXGA
解像度 1280×800ドット
HDMI端子
無線LAN Intel802.11a/b/g/n(nはドラフト2.0準拠) IEEE802.11b/g
Bluetooth
バッテリー 6セルリチウムイオン
バッテリー駆動期間 約3時間
ボディサイズ 293(幅)×240(奥行き)×9〜30(厚さ)ミリ
重量(バッテリー込み) 約1.79キロ
プリインストールOS Windows Vista Home Premium(SP1) Windows Vista Home Basic(SP1)
価格 7万3500円(HP Directplus価格) 6万円前後

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