「Centrino」はどこに飛んでいく(2/2 ページ)
インテルが6月の定例記者説明会を行い、LynfieldやIntel P55 Express、超薄型ノートPCの取り組みを紹介した。また、Centrinoの“行く末”も聞いた。
3GHz超のCPUを搭載しても8時間駆動が可能になる
インテル技術本部 技術部長の土岐英秋氏は、COMPUTEX TAIPEI 2009でも紹介された次世代プラットフォームの概要を説明した。モバイル向けCPUでは、動作クロック3.06GHzを実現したCore 2 Duo T9900とIntel GM45 Expressを組み合わせたシステムを従来のCPU、チップセットとで測定したベンチマークテストの結果を比較したほか、Core 2 Duo SU9400(1.4GHz)で測定したMobileMark 2007でBatteryLifeが8時間を超える長時間駆動を実現したことが紹介された。また、新しく登場したSFF(Small Form Factor)向けパッケージのCPU、チップセット(MCH、ICH)の実装面積の合計が1415平方ミリメートルで、通常タイプの3342平方ミリメートルから約半分になったことが示された。
無線LAN関連では、2009年4月から配布が開始された「Intel My WiFi Technology」(Intel MWT)のデモが行われた。Intel MWTは、Centrino 2以降で搭載されるインテル製無線LANモジュール(Intel WiFi Link 5300/同5100/Intel Wireless WiFi Link 4965AGN/Intel PRO/Wireless 3945ABG。リストにはIntel WiMAX/WiFi Link 5350/同 5150も挙がっている)で利用できる技術で、Intel MWTで構築されるWiFi PAN(パーソナルエリアネットワーク)に無線LAN対応の周辺機器を8台まで接続可能だ。デモでは、ノートPCと無線LAN対応の携帯電話、無線LAN対応プリンタをIntel MWTで構築したWiFi PANで接続し、携帯電話で撮影した画像をプリンタに出力するデモや、カメラ内蔵のトイロボットで撮影した画像をPCのアプリケーションでブログに編集して公開するまでの処理が紹介された。
デスクトップPC向けプラットフォームでは、COMPUTEX TAIPEI 2009でサンプルボードの展示や動作デモが多数行われていた「Lynnfield」(開発コード名)とIntel P55 Expressが紹介された。LynnfieldとCore 2 Quad Q9650の性能比較では、Cinebenchの結果で20%、SPECint rate_bae2006で40%の向上が確認されたという。また、2010年に登場する予定の32ナノメートルプロセスルールを採用したCPU「Westmere」と、45ナノプロセスルールを採用するグラフィックスコアを1つのパッケージに統合したClarkdaleも紹介された。
Centrinoについては「現在検討中」
なお、先日明らかになったインテルのブランド変更について、Centrinoブランドの扱いについて江田氏に確認したところ、CentrinoはノートPCのプラットフォームを示すブランドから無線接続モジュールを示すブランドに変更されることになり、それに伴ない、ノートPCなどで展開してきたCentrinoのプロモーションプログラムも変更される可能性があることを認めた。現在パームレストなどに張られているCentrinoのロゴシールもなくなるそうだ。
プロモーションプログラムについては、社内やパートナー企業などで具体的な内容の検討作業を進めている段階で、現時点で公表できることはないと江田氏は述べている。ブランド変更のタイミングが2010年からということもあって、少なくとも2009年にリリースされるノートPCについては、従来どおりの扱いになるとのことだ。
インテルは7月11日と7月12日にユーザーイベント「Intel in Akiba 2009 Summer 〜あたらしいパソコンで、あたらしいナツがはじまる〜」をベルサール秋葉原で行う予定だ。イベントでは、Intel P55 Express搭載マザーボードのショーケースが設けられるほか、インテルやマイクロソフトなどの講演が行われる。11日には吉田氏も会場を訪れる予定だ。イベントの詳細はこちらを参照のこと。
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