インテルが2010年に力を入れる「3つのテーマ」
「先行きが暗い中で年が明けた」2009年から、「明るい兆しの中で始まった」という2010年。インテルが取り組む「次の活動の源泉」とは?
不況下の投資が功を奏した32ナノプロセスCPU
インテルは、1月15日に2010年最初の記者会見を行った。インテル取締役副社長の宗像義恵氏は、2009年の業績を振り返った後、2010年にインテルが注力する「3つのポイント」を紹介した。
宗像氏は、2009年の業績について、「2008年末から続く金融危機の影響を受けた、不透明な状況からのスタートだったが、2009年の後半から景気回復の兆しが鮮明になってきた。インテルは2009年初めに約70億ドルの生産設備投資を発表し、2010年初めに32ナノメートルプロセスルールを採用したCPUを一気に投入できた。このように、インテルは不況でも技術革新に関する投資を続け、それが、次の活動の源泉になると確信している」と振り返った。
また、2010年もインテル全体で、研究開発に約62億ドル、生産設備投資に約48億ドルの投資を行い、次の成長に向けた投資をこれからも着実に続けていくことを明らかにしている。
日本のメーカーを支えていきたい2010年のインテル
2010年の事業展開に関する説明では、特に注力する項目として「日本のPC市場の拡大」「日本PCメーカーの海外進出におけるサポートの強化」「PC以外の成長分野に対する取り組み」の3テーマが紹介された。
「日本のPC市場の拡大」では、新しいCPUと新しいOSへのアップグレードをきっかけに、2009年後半からのコンシューマー市場におけるPC需要は2010年に入っても伸び、景気回復によるIT関連投資の増加によって、ビジネス向けPCやサーバ需要傾向も続くという考えを示している。
コンシューマー向けPC市場では、2009年に出荷台数増加に寄与したNetbookから、携帯性がNetbookと同等ながら性能は通常のノートPCに相当するCULV版CPUを搭載した「モバイル・サブノートPC」へ需要がシフトすると予想する。また、Netbookで活性化したモバイルコンピューティングの需要は2010年も引き続き強く、その市場の成長にモバイルブロードバントが必須と訴求するとともに、インテルはUQ WiMAXを積極的に後押しして、モバイルWiMAXの普及に貢献すると語った。
「日本PCメーカーの海外進出のサポート強化」については、2010年1月現在、中国やインドといった新興国や地域がPC販売の拡大に大きく貢献しており、日本のPCメーカーもそのような地域に対してビジネスを展開しようとしている現状を踏まえたうえで、インテルは、そのビジネス活動のサポート体制を強化し、販売支援などで日本のPCメーカーに協力していくことを明らかにした。
「PC以外の成長分野への取り組み」では、従来からのMobile Internet Devire(MID)やNetbookに続き、家電などへの組み込み需要を取り上げている。「たくさんの電子機器がインターネットに接続していく。2015年には150億台のデバイスがインターネットに接続する」と、インテルがこれまでもIDFなどで紹介してきたデータを示したうえで、宗像氏は、注目する組み込み系市場として車載情報機器における取り組みを紹介した。この分野でインテルは「GENIVIアライアンス」を立ち上げており、デバイス開発で各企業が連携することで普及に弾みをつけたいと説明した。
宗像氏は、「2009年は先行きが暗い中で年が明けた。しかし、CESの成果を聞くと、各メーカーの革新的な取り組みなどが目立つなど、2010年は明るい兆しの中で始まった。タッチパネルスクリーンや省電力プロセッサなどを採用した新しい製品が新たな需要を創造する。さらに、こういう市場を日本のメーカーは得意としている。インテルは日本のメーカー各社とともに、この新しい市場を開拓していきたい」と述べるなど、日本のメーカーとの連携を強め、そのビジネスをサポートしていくインテルの姿勢をアピールした。
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