Intelが必要とするのはソフトウェアの力だ:Intel Software Media Day(3/3 ページ)
Intelは、9月8日(現地時間)、米国において報道関係者向けカンファレンス「Intel Software Media Day」を開催し、ソフトウェアに対する取り組みを説明した。
インテルの投資はモバイルとクラウドに向かう
そのIntel Capitalは、現在、ソフトウェアやサービス事業の強化のために6つのジャンルに注目している。
- 携帯端末向けソフトウェア
- クラウド構築&セキュリティに優れたクラウドサービス
- セキュリティサービス
- ビジュアル&並列コンピューティング
- ハイパフォーマンスコンピューティング
- 組み込み用ソフトウェア
特に「クラウドサービスを有効に活用できる、マルチプラットフォーム向けのソリューションやサービスの整備が急務だ」とランバート氏は指摘する。その注目企業として、Intel Capitalが出資するKalturaとSwrve New Mediaを紹介した。
Kalturaは、PCやタブレット、スマートフォン、SmartTVなどのインターネットに接続されたデバイスごとに最適なビデオコンテンツを配信できる環境を、サーバ側だけでなくクライアント向けにも一貫して提供するソフトウェアベンダーだ。すでに同社の技術はディズニーやパラマウントスタジオ、ワーナーブラザーズ、Best Buy、HBOなどのコンテンツ配信に採用されているほか、米国で飛行機内の無線LAN接続やコンテンツ配信を行なっているGogoでも利用されている。
Kalturaは、Intel Capitalの出資を受け、現在クラウドサービスの約90%のトラフィックを占めるビデオ配信をよりセキュアなものにするとともに、携帯端末やホームエンターテイメント機器など、より幅広いプラットフォームサポートを実現すべく、Intelと協業していく考えだ。
一方、Swrve New Mediaは、ゲームコンテンツの動作検証コストを限りなくゼロにすべく、一般ユーザーからβテスターを募り、あらゆるプラットフォームでの動作検証を行なえる環境をゲームデベロッパに提供するだけでなく、クラウドと各端末のトラフィック状況やパフォーマンスを解析することで、PCのみならず、携帯端末やSmartTVなど、あらゆるプラットフォームで快適に楽しめるゲーム設定を見つけ、これまで注視してこなかった市場の可能性も探れる手段を提供する。これにより、これまでPCや専用機向けに開発してきたゲームデベロッパが、急拡大を続けるソーシャルゲーム市場などにも容易にゲームを移植することができるようになるという。
そして、UltrabookとWindows 8とMcAfree
ランバート氏はまた、Intel CapitalがSwrve New Mediaを含む7社に対して総額2400万ドルの投資を行なうことを発表し、Intelアーキテクチャのソフトウェアエコシステムを広げるために、今後もソフトウェアやサービスに対する投資や企業買収を強化していく意向を示した。
さらにIntelは、9月13日にサンフランシスコで開幕する「Intel Developer Forum 2011 San Francisco」において、2011年2月に買収を完了したMcAfeeとともにハードウェアを生かすことで、より進化したセキュリティ機能をアナウンスするほか、MicrosoftとはWindows 8において、Intelが普及を図る新しいノートPCのカタチである“Ultrabook”で次世代のパワーマネジメント機能などを実装すべく協業していることを明らかにした。ソフトウェアとハードウェアが密接に連携することで、より優れた機能を実現するエコシステムを構築していきたい考えだ。
Intelにとっては、スマートフォンやタブレット端末の普及により、急速に拡大するコンピューティングデバイス市場においてイニシアチブを握るためには、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやサービスの充実は最重要課題であり、「近い将来、Intelといえば“ソフトウェア”というキーワードを思い浮かべるようにしたい」(フィッシャー副社長)と、ソフトウェアでコンピューティングデバイスに革新をもたらしていく意向を示した。
関連キーワード
ソフトウェア | Intel | 投資 | 買収 | 企業 | Intel Capital | McAfee(マカフィー) | クラウドコンピューティング | クラウドサービス | Ultrabook | 協業 | Intel Developer Forum | 出資 | 開発支援 | 開発環境 | 動画配信 | 投資会社 | ロングテール
関連記事
- Intelの研究成果が集結!──「Research@Intel Day June 2011」
自作PCユーザーが注目するインテルのロードマップ。そのロードマップの先を進むのがインテルの研究機関だ。彼らの成果が集合するイベントで「その先」が見えるか? - 薄型軽量ノートPCを“再発明”する「Ultrabook」――Intelモバイル戦略
Intelの基調講演では復帰したショーン・マロニー氏が登壇。次期CPU「Ivy Bridge」や超薄型ノート「Ultrabook」など、PCプラットフォームの“再発明”戦略が語られた。 - 22ナノプロセスCPUが動いたー:米Intel、“Ivy Bridge”で「3D-Tri Gate」を採用
米Intelは、Sandy Bridgeの後継となる“Ivy Bridge”において、3D-Tri Gateが採用されることを明らかにし、動作する“Ivy Bridge搭載PC”も公開した。 - インテル、“Oak Trail”と“その先”を訴求
インテルは、4月27日に2011年の1〜4月における主な活動に関する報告と、IDF 2011 北京で発表した“Oak Trail”世代のAtomプラットフォームの説明を行った。 - “Cedar Trail”も2011年後半に登場:インテル、“Oak Trail”を正式に発表
インテルは、開発コード名“Oak Trail”新プラットフォームを4月12日に発表した。富士通、Lenovoなどから搭載製品が2011年5月より出荷する予定だ。 - インテル、“Light Peak”こと「Thunderbolt」の概要を発表
アップルの最新「MacBook Pro」に採用されたことを受けて、インテルは、開発コード名「Light Peak」として紹介してきた高速インタフェースの概要を公開した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.