電力自給を目指し、太陽光発電システムや蓄電池などを備える住宅が各メーカーから登場している。住友林業は太陽光発電システム、蓄電池のほかに、戸建住宅としては始めてV2Hシステムをオプションとして用意した住宅を発売する。
住友林業は2012年7月6日から、戸建住宅の新製品「Smart Solabo」を発売する。特長は太陽光発電システム、住宅用蓄電池など、多様な電源から好きなもの選んで搭載できること。新築住宅として始めて、電気自動車からの電力を住宅で利用可能にするV2H(Vehicle to Home)システムを搭載可能にしたことも大きな特長だ(図1)。
搭載できる電源は、太陽光発電システム、家庭用燃料電池「エネファーム」、家庭用リチウムイオン蓄電池(蓄電容量12kWhの製品と、4.8kWhの製品から選択)、V2Hシステム。V2Hシステムは日産自動車の電気自動車「リーフ」に対応するものになる。住宅における消費電力量を監視しながら、上記の電源の発電状況や蓄電量などを確認できるHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)も搭載できる。
他メーカーは、太陽光発電システムと住宅用リチウムイオン蓄電池を搭載した住宅を販売していることが多いが、太陽光発電システムには発電量が気候によって大きく変動するという欠点がある。そこで、今回の新製品でエネファームを追加で搭載可能とした。天候不順で太陽光発電システムからの電力を期待できないときも、エネファームで発電することで、電力会社からの受電を最小限に抑えることを狙っていると見られる。
固定価格買取制度を最大限活用するという狙いも見える。住宅で利用する電力としては、可能な限りエネファームからの電力を利用し、太陽光発電システムが発電する電力のうち、売電する分をなるべく増やすことで、売電収入を最大化するという運用も考えられる。
住宅用蓄電池に加えて、V2Hシステムも搭載可能にしたことで、蓄電容量の合計値が上がり、従来の住宅と比べて大規模で長時間に渡るピークシフトが可能になる。もちろん、停電時に電力を利用できる時間も伸びる。
以上の機器をすべて搭載したら、かなり高額になってしまうだろうが、太陽光発電システムからの電力を売電することを考えると、エネファームと組み合わせて売電収入を最大化することで、投資回収期間が短くなる可能性もあるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.