節電目標は3地域だけに、中部・北陸・中国は解除エネルギー管理

関西電力で2機目の原子力発電所が再稼働したことを受けて、政府の「エネルギー・環境会議」は今夏の節電目標を大幅に修正した。6月22日の下方修正に続いて2回目で、結局のところ関西のほかに四国と九州だけで節電目標が残ることになった。

» 2012年07月26日 07時30分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 当初は電力需要のピークが供給力に対して15%以上も不足する、と想定していた関西電力だが、7月25日に2機目の原子力発電所を再稼働できた結果、「8月の需給ギャップがほぼゼロまで改善する」ことを明らかにした。それでも「計画停電のリスクを少しでも低減するため、10%以上の節電目標を維持する」との方針を示した。

 一方、余剰電力を関西に融通することになっていた中部・北陸・中国・四国の4地域は融通の必要がなくなったため、四国を除いて節電目標は解除された(図1)。これにより、今夏の節電目標は関西と九州が10%以上、四国が5%以上、の3地域だけになった。ただし関西の場合は「生産活動に支障が生じる場合は5%以上」という条件が付いており、実質的には九州の節電目標が最も高い。

図1 政府の「エネルギー・環境会議」(7月25日開催)で修正された節電目標。出典:エネルギー・環境会議

 関西電力が5月29日に発表した時点では、7月後半から8月にかけて電力需要が最大で2987万kWに達する見通しで、それに対して供給力は8月に2542万kWにとどまる予測だった(図2)。ところが1機目の原子力発電所の再稼働により、原子力で118万kWと揚水発電で50kW万強の合わせて約170万kWの供給力を増強できる見通しになったため、6月下旬には当初の「15%以上」から「10%以上」に節電目標が引き下げられた。

図2 関西電力が5月29日に発表した時点の今夏の供給力。出典:関西電力

 今回の2機目の原子力発電所の再稼働によって、さらに原子力で118万kWの供給力が上積みされることになるが、揚水発電による増加分などは説明がない。関西電力の当初の需要見通しのままであれば、まだ需給ギャップは残るはずだが、「ほぼゼロまで改善する」と発表しており、不可解な点が残る。果たして当初の需給見通しが適正だったのか、今冬や来夏に備えて専門家による検証が必要だろう。

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