夏の電力需要と太陽光発電に共通する1日の変化電力供給サービス

真夏の昼の太陽光の強さは、暑さをもたらして電力の使用量を押し上げる一方で、太陽光パネルに対しても同じように作用する。太陽光発電では朝の6時から発電量が増え始めて、昼の12時前後にピークを迎え、夕方に向けて減っていく。夏の理想的な節電対策とも言える。

» 2012年08月31日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 いよいよ8月も終わりだが、まだしばらくは暑い夏が全国各地で続くだろう。昼間の節電対策は一部の地域を除いて、9月半ばくらいまでは欠かせない。そのためにエアコンの設定温度を28度に上げて、多少の暑さは我慢する。午後の電力使用量を抑えて需給バランスを維持しないと、地域によっては計画停電の可能性が残っている。

 本当は電力の需要に合わせて供給量も増えていけば、何の問題もないのに――。そんなことを考えながら、東京電力のウェブサイトをあれこれと見ていると、朝の6時を境に似たようなカーブを描く2つのグラフに気が付いた。

 1つは「でんき予報」のページに表示される、時間帯別の電力需要のグラフだ(図1)。今年の夏は企業や家庭の節電対策が効果を発揮して、午後のカーブはなだらかになっている。

図1 8月30日の東京電力管内における時間帯別の電力需要。出典:東京電力

 もう1つのグラフは、東京電力が運営する太陽光発電所の発電量を、でんき予報と同じように時間帯別に表示したものである(図2)。3か所ある太陽光発電所の発電状況をウェブサイト上でリアルタイムに知ることができる。

図2 8月30日の扇島太陽光発電所(神奈川県川崎市)の発電量。出典:東京電力

 この2つのグラフで大きく違う点は、縦軸の単位だ。でんき予報が「万kW」なのに対して、太陽光発電所の発電量は「kW」である。もしも太陽光発電所が数1000か所にあれば、夏の昼間の節電対策など不要になるのだが、現実にはありえない。

 しかし、東京電力と契約している約3000万の企業や家庭が少しずつでも太陽光発電に取り組めば、ある程度は夏の節電対策を緩和することができる。エアコンの設定温度を26度まで下げられる。2つのグラフを見比べると、日本における太陽光発電の重要性を改めて実感する。

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