「地球温暖化対策税」が始まる、電気料金への影響は必至法制度・規制

石油・ガス・石炭といった化石燃料に対する課税が10月1日から始まった。政府は2012年度に391億円、2016年度以降は2623億円の税収を見込んでおり、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの促進に充てる。電力会社も税を負担することになり、いずれは電気料金に上乗せする見通しだ。

» 2012年10月11日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 企業や家庭のエネルギー消費に対して新しい税金が10月1日に施行された。環境省が中心になって推進するもので、「地球温暖化対策税」と呼ばれている。税の対象は石油・ガス・石炭を使ったエネルギー製品全般である。

 CO2排出量1トンあたり289円の設定で税率が決められた。3年半の間に3段階で税率が上がっていき、2016年4月から一定額になる(図1)。これまでは「石油石炭税」が課せられてきたが、温暖化対策を推進するために新たに追加された。従来の石油石炭税と比較すると石油で37%、ガスで72%、石炭で96%の増額になる。

図1 地球温暖化対策税の施行スケジュール。出典:環境省

 この結果、ガソリンや都市ガス、電気料金も値上げが見込まれている。環境省の試算では、電気料金は1kWhあたり0.11円の値上げが想定されている(図2)。

図2 地球温暖化対策税によるエネルギー価格の上昇額試算。出典:環境省

 電力会社は火力発電用に石油・ガス・石炭を大量に購入しており、従来から燃料費の増減によって「燃料費調整」の名目で電気料金に上乗せしてきた。例えば東京電力の10月の燃料費調整は1kWhあたり0.38〜0.40円である。

 現在のところ新しい税による電気料金の値上げ意向を示している電力会社はない。ただし今後は税の負担額が増えていくことは確実で、近いうちに燃料費調整に反映するなどして値上げを実施するものとみられる。

 一方で政府は地球温暖化対策税の収入によって、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入を支援するための施策を拡充していく。各種の制度を活用して電力会社からの購入量を削減する企業は有利になり、対策を講じない企業はますます不利になる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.