水力発電所の余剰水力で小水力発電自然エネルギー

国土交通省東北地方整備局は、宮城県柴田郡川崎町に立地する多目的ダム「釜房ダム」に小水力発電設備を設置する工事を始めたことを明らかにした。隣接する東北電力の水力発電所に流している水のうち、余って捨てている分を利用して発電する計画だ。

» 2012年11月29日 07時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]
図1 釜房ダムを下流から見たところ。写真右側のから流れ落ちている水を小水力発電に利用する

 釜房ダムは治水、かんがい、水道供給、水力発電など、多様な役割を果たしているダムだ(図1)。仙台市など宮城県市街の水がめとして大きな役割を果たしており、仙台市の水道事情を左右するダムだ。

 小水力発電には、ダムの下流にある2つの水力発電所に流す水を利用する。釜房ダムの下流には東北電力の釜房発電所と碁石川発電所があり、釜房発電所はダムから水の供給を受けて発電し、碁石川発電所は釜房発電所から流れ込む水を利用して発電している。

 しかし、碁石川発電所は釜房発電所から流れ込む水すべては受け入れられない。それぞれの発電所の1秒当たりの水流量は釜房発電所が6トンで、碁石川発電所が4.17トン。従来は釜房発電所から碁石川発電所に水を流す前に、余る水(1秒当たり1.83トン)を捨てていた。この水を小水力発電に利用する。

 設置する発電用水車は、水力発電用の水車を小型にしたもので、最大出力は150kW。年間発電量は約948MWhと見込んでいる。2015年3月に建設が完了し、点検、試運転を済ませた後、2015年4月から稼働を始める予定だ。

 発電した電力は釜房ダムの水質管理や、事務所の電力として利用する。釜房ダムで消費している電力のおよそ6割を小水力発電による電力でまかなうことができる。季節によっては発電した電力が余るので、その分は東北電力に売電する。

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