難工事が前倒しで完了、出力12MWの風力発電所が稼働開始自然エネルギー

関西電力のグループ会社で、再生可能エネルギーによる発電事業を手掛ける関電エネルギー開発は、兵庫県淡路市に建設していた風力発電所「淡路風力発電所」の工事が予定よりも早く完了し、営業運転を始めたと発表した。

» 2012年12月26日 07時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 風力発電所の位置は淡路島の北端近く(図1)。NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公開している風況データによると、秒速6m程度の風が期待できる土地だ。一般に陸上風力発電では、秒速6m以上の風が吹く場所では採算を取りやすくなるということになっている。

図1 淡路風力発電所の所在地。淡路島の北端に位置している。出典:関西電力

 関西電力も淡路風力発電所を建設するために、2003年1月から淡路島北部で風況調査を始めた。調査の結果、事業として成り立つ見込みが立ち、関西電力は2009年1月に計画を発表し、8月に着工した。計画の段階では出力2MW(2000kW)の風力発電機を12基建設し、最大出力を24MW(2万4000kW)として2010年12月に運転を始める予定だったが、計画は二転三転していく。

 まず建設工事中に兵庫県の条例に基づく環境影響評価を実施したところ、周辺地域への影響が大きいということが分かり、発電機の数を12基から7基に減らした。さらに淡路市から7基の発電機のうち1基の建設を中止するよう要請を受けた。最終的には発電機の数は当初計画の半分となる6基となり、最大出力は12MW(1万2000kW)に減った。

 大幅な計画変更の後、2011年10月に工事を再開したが、完成に向けた工事は難航した。工事を再開した時点では、2012年4月までに営業運転を始めることを見込んでいたものの、強風で風車組立が困難になったり、基礎工事の岩盤掘削で予想以上に時間がかかってしまい、営業運転開始時期を2013年2月に延期せざるを得なくなった。

 以上のように工事は難航していたものの、予定よりも数カ月早く完了し、使用前自主検査も済んだため、2012年中に営業運転を始めることができた(図2)。関西電力と関電エネルギー開発は、淡路風力発電所の年間発電量を約2万MWh(2000万kWh)と見込んでいる。

図2 運転を始めた淡路風力発電所。出典:関西電力

 淡路風力発電所は、関西電力グループとしては初めての風力発電所となる。関西電力は今後、再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組んでいくとしている。

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