中部電力は「上越火力発電所(新潟県上越市)」に建設していた天然ガス発電設備の運転を始めたと発表した。7月には同規模の設備がさらに稼働を始める予定。
今回稼働を開始したのは上越火力発電所(図1)の1-2号機。2012年7月に営業運転を始めている1-1号機に続くもので、最大出力は59万5000kW。液化天然ガス(LNG)を燃料とするガスタービン発電設備で、ガスを燃焼させるときの熱を利用して蒸気タービンでも発電するコンバインド・サイクル発電が可能だ。
中部電力は今回稼働を始めた発電設備と同じものを、上越火力発電所内にさらに2つ(2-1号機と2-2号機)建設している。そのうち2-1号機は、2013年7月に営業運転を始める予定だ。2-2号機の営業運転開始は2014年5月となる予定。2-1号機と2-2号機の運転が始まればそれぞれ59万5000kWずつ出力が上がる。合計すると119万kWになる計算だ。
電力供給体制に不安が残る今冬、中部電力の電力使用率は連日90%を超えている。新しい発電設備の稼働開始で、電力供給能力が59万5000kW上がり、期待する声も上がりそうだが不安解消は期待できそうにない。
中部電力は2012年11月に政府に提出した冬の電力需給見通しで、この発電設備の稼働開始を織り込んだ数字を出している。その見通しによると2013年1月の最大需要電力は2367万kWで、最大供給電力は2480万kWとなっている。供給予備率はわずか4.8%だ。幸いなことに1月に入ってから、中部電力管内の最大需要電力は2100万kW前後で落ち着いている。今後急激な変化がないことを期待しながら、節電に積極的に取り組んでいくべきだろう。
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