大手メーカー各社が太陽光発電システムの保証期間を競い始めた。中核になる太陽電池モジュールで20年、パワーコンディショナで10年の保証期間を設ける動きが相次いでいるが、東芝は3月から非住宅用のシステムを含めてパワーコンディショナの保証期間を15年に延長する。
固定価格買取制度では出力が10kW未満の主に住宅用の太陽光発電で10年間、10kW以上の非住宅用では20年間の買取が保証される。このため買取期間中の採算性を考える上で、製品の寿命が何年くらい見込めるかが特に重要になってくる。
太陽光発電システムは太陽電池モジュールとパワーコンディショナの2つが主要な構成要素で、いずれも10年保証が一般的だった。市場拡大に伴ってメーカー間の競争が激しくなり、最近は太陽電池モジュールの保証期間を20年に延長するメーカーが増え始めている。
一方のパワーコンディショナの保証期間は各メーカーともに10年までとしてきたが、シャープが2012年7月に太陽電池モジュールと合わせて「まるごと15年保証」を開始した。これに対抗して東芝は2013年3月から、パワーコンディショナを15年保証、太陽電池モジュールを20年保証に拡張する。大手メーカーでは現時点で保証期間が最も長くなる。
さらにシャープの「まるごと15年保証」の場合は出力が10kW未満の主に住宅用のシステムが対象だが、東芝の新しい保証制度は10kW以上50kW未満のシステムも対象に含まれる。
このところ企業でも遊休地や建物の屋根などを利用して太陽光発電を開始する事例が急増しており、特に電力会社に対して「低圧」(50kW未満)で送電できる小規模なシステムの導入機運が高まっている。東芝の新制度は、そうした企業からの受注拡大を狙う。
すでに太陽光発電システムは価格や性能では各メーカーの差がほとんどなくなってきている。今後は長期保証や遠隔保守などサービス面の競争になることは確実で、他のメーカーも続々と保証期間の延長に乗り出すものとみられる。太陽光発電システムを導入するための環境がますます整っていく。
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