「エネルギー最先進国」へ、原子力発電の活用などを経済産業大臣が表明法制度・規制

新政権が推進する産業競争力会議で、重点分野のひとつになっているエネルギー政策の方針を経済産業大臣が明らかにした。電力を中心とするエネルギーの生産・流通・消費の3段階に分けて政策を進める考えで、生産面では「安全が確認された原子力発電の活用」を掲げた。

» 2013年02月22日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 安倍首相が日本の産業競争力を強化するための緊急課題のひとつとして「責任あるエネルギー政策の構築」を指示したことを受けて、経済産業省の茂木大臣がアクションプランの骨格を提示した。前・民主党政権が策定したエネルギー・環境戦略を全面的に見直し、原子力発電の活用を政策の中に盛り込む。

 茂木大臣が2月18日の産業競争力会議に提出した資料のタイトルは、「多様な供給体制とスマートな消費行動を持つエネルギー最先進国へのアクションプラン」である。エネルギーの生産・流通・消費の3つの段階で課題があるとして、それを解決するための10項目におよぶ政策の方針を示した(図1)。

図1 「エネルギー最先進国」へのアクションプラン。出典:経済産業省

 第1の生産段階では「安全が確認された原子力発電の活用」を明確に表明した。前政権が実施した国民的議論では、原子力発電を撤廃することを多くの国民が求めた。それに反する方針であり、夏の参議院選挙の争点になるかが注目される。

 第2の流通段階の最重要課題は「電力システム改革」で、すでに具体案の検討が進んでいる。2013年度から法律の整備を含めて実行フェーズに入るが、電力会社が抵抗する姿勢を見せており、茂木大臣のリーダーシップが問われる局面だ。

 第3の消費段階で掲げた「効率的なエネルギーマネジメントシステムを普及」が最も実行スピードを求められる項目である。すでに2012年度からBEMS/HEMS(ビル/家庭向けエネルギー管理システム)の補助金制度を開始しているが、期待ほどには広がっていない。もっと利用者側にメリットのある施策を2013年度中に打ち出さなければ、企業や家庭の節電意欲が薄れていく懸念がある。

 ただひとつ原子力発電の活用を除けば、今回示されたアクションプランに対して異論は少ないと考えられる。電力システム改革のように早期に実施スケジュールを決めることが課題解決のカギを握っている。

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