逆境でも成長した太陽光、総導入量が全世界で100GWを超える自然エネルギー

2012年のキーワードは経済危機かもしれない。欧州を中心として経済的に弱い国家が破綻するのではないかという不安が続いたほどだ。しかし、太陽光発電市場は欧州を中心に成長していたことが、EPIAの調査から分かった。

» 2013年05月13日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 2012年の太陽光市場はどのような状況だったのだろうか。2012年といえば欧州を中心とした経済危機や、業界再編など太陽光が逆境にあった印象がある。

 太陽光発電システムに関する世界最大の業界団体European Photovoltaic Industry Association(EPIA)によれば、このような印象は間違っていたようだ。全世界における2012年の太陽光発電の増設量は31.1GWであり、これは2011年の30.4Wより成長しているからだ。2012年は累積導入量が100GWを超えた年でもある。正確には102GWに達した。

 太陽光発電を引っ張ったのは欧州市場だ。新規導入量の55%が欧州市場向けだった。ただし欧州市場向けのシェアはこれでも減少している。2011年の欧州向けのシェアは70%(導入量は22.4GW)だったが、2012年はこれが17.2GWに下がったからだ(図1)。

 図1にある色別の区分の意味は以下の通り。黄色(その他の地域)、黄緑(中東・アフリカ)、茶色(中国)、紫(南北アメリカ)、オレンジ(中国を除くアジア・太平洋)、水色(欧州)。

図1 地域別の新規導入量。出典:EPIA

 EPIAのプレジデントであるWinfried Hoffmann氏によれば、2012年は太陽光発電のターニングポイントの年なのだという。太陽光発電市場は欧州が盛り上げていくものから、多地域へと変わっていくのだという。

 2012年の最大市場はドイツであり、新規導入量は7.6GW。全世界の約4分の1をドイツ向けが占めたことになる。次いで中国(5GW)、イタリア(3.4GW)、米国(3.3GW)が続く。日本の導入量は推定値のみが示された。2.2GWだ。

 EPIAは5年後の2017年における市場規模も予測した。EPIAはこれまでも複数のシナリオを公開してきた。「悲観的な旧態依然シナリオ」に従って事態が推移した場合、2017年の市場規模は2012年比1.54倍の48GW、「政策主導シナリオ」だと2.7倍の84GWに達する。

ピーク需要の5.2%をカバー

 太陽光は大規模な導入が続いているが、他の再生可能エネルギーと比較すると、総導入量で水力、風力に次ぐ3番手に位置する。

 ただし、新規導入量では勢いがある。例えば、太陽光は欧州で新規導入された再生可能エネルギーとして2年連続首位だった。

 大量導入された太陽光発電は、欧州の電力事情にどのような影響を与えているのだろうか。EPIAによれば、太陽光は欧州の総電力需要の2.6%をまかない、ピーク需要の5.2%をカバーするに至ったという。

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