輸出が上回ったドイツの電力、脱原発でも伸びる自然エネルギー

エネルギー政策についてはドイツの先進事例から学べることが多い。例えば、2011年以降、原子炉を8基停止したにもかかわらず、周辺諸国に対する電力輸出量が増加、2012年には14億ユーロの純輸出を達成した。

» 2013年04月04日 15時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 ドイツは電力輸出国として成長している。2012年の電力純輸出量は過去4年で最大――ドイツ連邦統計局(Statistisches Bundesamt)が2013年4月2日に発表した内容だ。

 2012年、欧州電力ネットワークからドイツが購入した電力量は438億kWh。輸出はこれを228億kWh上回る666億kWhに達した。純輸出量は2011年と比較して約4倍に成長している。金額ベースでは2012年の純輸出額は14億ユーロ(輸出額37億ユーロ、輸入額23億ユーロ)である。

 月別では、2012年12月の輸出が最大、7月が最小であり、輸入は5月が最大、2月が最小だった。5月のみ、輸入が輸出を上回っている。

 電力輸出相手国として最大なのはオランダ(226億kWh)、輸入相手国として最大なのはフランス(132億kWh)だった(図1)。

図1 電力の輸出入相手国。左が輸出相手国、単位は億kWh。

 ドイツの電力政策は長期的な視野に立っている。既に2003年以降、2012年まで10年間連続して電力の純輸出国となっている。脱原発への取り組みも長く、2011年には福島第一原子力発電所の事故を受け、全17基のうち8基を停止、2022年末までに全ての稼働を停止する計画だ。それにもかかわらず、電力輸出量が増えているのは、再生可能エネルギーの貢献が大きい。

 ドイツ連邦ネットワーク庁(Bundesnetzagentur)によれば、2012年末までの太陽光発電システムの累積導入量は32.4GW。2013年の新規導入量は1月275MW、2月211MWであり、3月は400MWを超える見込みだ。

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