Googleが96MWの太陽光、南アに1200万ドルを投資自然エネルギー

米Googleは、2つの目的から再生可能エネルギーに投資している。1つは自社のデータセンターの電力確保、もう1つは魅力的な投資先として見ているからだ。

» 2013年06月03日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 米Googleは再生可能エネルギーに向けた取り組みを着々と進めている。2012年末時点、投資累計額は約10億米ドルに達しているほどだ。Googleの投資目的は複数ある。1つは自社のデータセンターに向けた電力供給だ。同社は社内で利用する電力を100%、再生可能エネルギーから得ようとしており、現在、その比率は30%以上である。

 自社向け以外のプロジェクトにも投資している。一般向けに電力を供給する太陽熱発電所や、住宅の屋根貸しサービスへの投資だ。

 2013年5月30日には、初のアフリカ向けのプロジェクトを発表した。アフリカ大陸の南端、南アフリカ共和国(南アフリカ)におけるメガソーラーへ1200万米ドル(約12億円)を投資する。

 メガソーラーの出力は96MW。アフリカ大陸で最大級の規模だ。米SolarReserveと、南アフリカIntikon Energy、南アフリカKansani Groupが取り組むJasper Power Projectだ(図1)。

図1 96MWのメガソーラーに投資する。南アフリカ北部の北ケープ州に建設する。出典:米Google

 南アフリカは、アフリカ大陸で最大の経済規模を誇る。特に鉱工業が盛んだ。しかしながら、電力サービスはぎりぎりの運営を迫られている*1)。例えば2008年1月、全国的な計画停電*2)を複数回に分けて実施、産業界への影響は大きかった。

*1) 2009年時点の年間発電量は2496億kWh。火力が93.2%を占め、次いで原子力(5.1%)、水力(1.7%)。
*2) 実際には計画性が薄く、停電が始まる時間や終了する時間について十分な情報が公開されていなかったという。

 このため、南アフリカ政府は2030年までに再生可能エネルギーで18GWを得るという計画を進行中だ。電力に占めるエネルギー源の比率は、2010年時点で1.8%。これを2013年には4%、2020年までには13%に高める目標だ。都市ごとの目標もある。同国第2の都市ケープタウン(人口350万人)は、2020年までにエネルギー供給の15%を再生可能エネルギーから得る計画を公表している。

 太陽光発電システムに関する世界最大の業界団体European Photovoltaic Industry Association(EPIA)は、2013年4月に公開したリポート「Global Market Outlook For Photovoltaics 2013-2017」で、太陽光発電システムが今後導入される可能性のある上位10位の国に、南アフリカを挙げている。

 Googleも発表資料のなかで、南アフリカは再生可能エネルギーの種類が多く、政策も協力的であり、魅力的な投資先だと判断したと述べている*3)

*3) 南アフリカは固定価格買取制度(FIT)を実施していないものの、補助金政策と公的競争入札制度は導入している。

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