京都と大阪、奈良の三府県にまたがる「けいはんな学研都市」では、2012年夏、昨冬に続いて、2013年7月から夏季におけるデマンドレスポンスの実証実験を開始した。電気料金などの効果が明らかになってきており、対象世帯ごとの省エネルギーコンサルティングでどの程度節電を上積みできるかを新たに調べる。
電力の需給がひっ迫したとき、一般家庭でも消費電力のピークカットが必要になる。ひっ迫情報に基づいて、消費者側が電力消費量を減らす「デマンドレスポンス」が最も効率のよい方策だろう。だが、デマンドレスポンスの形は一様ではない。なるべくスムーズに無理なく節電を進めるにはどうすればよいのか。横浜の実証実験(関連記事)に続いて、関西の実証実験を紹介する。
関西の実証実験は、京都と大阪、奈良の三府県にまたがる「けいはんな学研都市」が舞台となる。関西電力と三菱電機、三菱重工業が「けいはんなエコシティ次世代エネルギー・社会システム実証プロジェクト」として、一般家庭700世帯を対象に進めているものだ。
2013年7月8日から始まった「電気のかしこい使い方プログラム」は、3回目の試みに当たる。2012年の夏季、2012年末から2013年初頭にかけての冬季、そして今季だ。実証実験の内容を少しずつ変えながら、節電に強い影響を与える因子を探っている。
そこで、今夏のプログラムに入る前に、昨冬の実証実験の内容と結果を紹介する。昨冬の実証実験は2012年12月17日から2013年2月28日まで進めたもの。一般家庭を対象とすること、タブレット端末を配布するなど、ITを活用してデマンドレスポンスを進めたことが特徴だ。節電を促す仕組みは4つあり、実験対象の世帯を3グループに分けて当てはめた(図1の下)。まずは消費電力量の見える化だけを試みたAグループ、これに節電のお知らせを加えたBグループ、見える化に電気料金の仕組みを当てはめたCグループとDグループだ。
電気料金の仕組みは2つある。TOU(時間帯別料金)とCPP(ピーク時変動料金だ)。実験開始前に、全対象世帯へ1万6000ポイント(P)を渡し、実験終了後に残ったポイントに対して1P=1円の比率で換金する。ポイントはTOUとCPPで消費するため、うまく節電すればPがほとんど減らないことになる。
TOUは全ての平日、18〜21時の間に消費電力1kWh当たり20P消費する。CPPはいざデマンドレスポインス実施となったときに適用される料金だ。デマンドレスポンスの重要度に応じて、1kWh当たり、40P、60P、80P消費する。つまりもともとTOUで高めに設定された特定の時間帯の電気料金がさらに2倍、3倍、4倍に高まるという仕組みだ。実証実験では各CPPを8回ずつ、合計24回試みた。
TOUやCPPに応じてポイントが減っていく様子を図1の上に示した。
このような条件では、どの程度消費電力が減るのか。どの仕組みが一番有効なのか。図2に消費電力抑制効果を示した。
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