電力がひっ迫したら電気料金を一時的にアップ、果たしてその効果とはエネルギー管理(2/2 ページ)

» 2013年07月08日 14時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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抑制効果が高いのは…

 図2の上は昨冬の結果、図2の下は昨冬と昨夏の両方の結果を示した。

 図2の下では、Aグループ、つまり見える化だけを行った場合が基準となっている。なお、今回の実証参加世帯とは別に約150世帯を無作為抽出して、見える化がない場合と比較したところ、見える化だけで1.2%の需要抑制効果があることも分かっている。

 Aグループと比較すると、昨冬の実証実験ではBグループ、つまり見える化+お知らせという仕組みで消費電力が11%下がったことが分かる。電気料金の仕組みがない場合の効果だ。TOUの効果もあったが、CPPで電力料金を2倍、3倍、4倍に高めてもさほど追加の効果がない。

 なぜこのような結果になったのか。3社の分析によれば次のような理由がある。図2下の数値から、TOUとCPPを合計した効果は昨冬と昨夏で同程度だということが分かる。冬は夏と比較してTOUが効果的であり、CPPはあまり効いていない。冬季は普段から節電を進めているためにCPPとなっても、追加の節電手段が少なかったからだという。

 冬季のデマンドレスポンスは18〜21時と生活の中でもともと電気を使う時間で試みた。このため、電気を使う暖房ではなく、他の暖房へ転換が起こった。デマンドレスポンスが実行された24日間全てで、暖房を電気から他熱源に変えた世帯はB、C、Dグループでは24%に及んだ。17〜23日間、他の熱源に転換した世帯は32%。両方を合わせると56%に達する。いったん、他の熱源に転換してしまうと、それ以上は節電が難しい。

図2 前回と前々回の実証実験の結果。出典:関西電力

今回は省エネコンサルティングの効果を調べる

 2013年7月に始まった今夏のプログラムは9月18日まで続ける。さまざまな前提条件は2012年の夏とそろえた。デマンドレスポンスの時間帯は平日の13〜16時、デマンドレスポンスの実施回数は15回程度、付与ポイントは7000ポイントだ。

 昨夏と異なるのは検証内容だ。新たに世帯ごとに異なる「省エネルギーコンサルティング」を追加し、コンサルティング単独の効果、電気料金とコンサルティングを組み合わせたときの効果を見る(図3)。

図3 今夏のグループ分けと検証内容。出典:関西電力
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