高圧一括受電サービスの充実図る、J:COMが10年の実績をもつ専業企業を買収電力供給サービス

「J:COM電力」を高圧一括受電サービスとして2013年4月に開始したばかりのジュピターテレコム。2013年9月には業界の老舗企業を買収し、サービスを拡大する。当面は低価格であることをうたうが、高度なサービスが提供可能なインフラも利用できるようになった。

» 2013年09月03日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 ジュピターテレコムは、J:COMブランドの下、ケーブルテレビ(CATV)や高速インターネット接続サービスを全国の4つの大都市圏(14の都道府県)で展開している。

 2013年4月には、マンション向けに安価な電力を供給するサービス「J:COM電力」を関東地方の1都5県で開始、高圧一括受電サービスに参入した形だ(関連記事、図1)。

図1 J:COM電力のサービス。ジュピターテレコムの資料を編集したもの

 同社は高圧一括受電サービスに大きな市場性があると判断しており、既存の通信サービスと組み合わせてマンションに格安な料金で提供することでシェア拡大を狙うという。

 2013年8月には、国内で最も初期から高圧一括受電事業を手掛け、10年の運用実績をもつアイピー・パワーシステムズ(IPPS)を子会社化すると発表した。IPPSは関東地方を中心に新築マンション108棟(1万6884戸)、既築マンション42棟(4789戸)などと契約を結んでいる。

 IPPSは高圧一括受電サービスを手掛ける企業として先進的であり、スマートメーターを活用した無線自動検針システムを既に構築している。検針員の人件費を必要としない他、常に最新の消費電力情報をユーザーが把握できるメリットがある。

 同社はマンションのエネルギー管理システム(MEMS)を利用した事業者として経済産業省のMEMSアグリゲーターの補助金制度の対象にもなっている。需用者側の消費電力制御(デマンドサイドマネジメントやデマンドレスポンス)に取り組む際も、技術的なハードルが低いと考えられる。

 ジュピターテレコムはIPPSの既存株主との間で、IPPSの株式譲渡契約を2013年8月27日に締結しており、同9月4日には全株式の譲渡を受ける予定である。なお、IPPSの現在の筆頭株主である伊藤忠エネクスとジュピターテレコム、IPPSの3社は株式譲渡を前に、業務提携契約を結んでおり、電力小売事業のサービス強化などを狙う。

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