灯りと情報が途切れないスマートコミュニティ、最大の被災地で始動へエネルギー管理

東日本大震災で最大の被害を受けた宮城県の石巻市で、復興に向けたスマートコミュニティの構築計画が動き出した。「灯りと情報が途切れない安全・安心なまちづくり」を目指して、公共施設や商業施設、復興住宅を含めて地域全体を連携できるエネルギー管理システムの導入が始まる。

» 2013年10月11日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 「石巻スマートコミュニティ」は石巻市内の4つの地区を対象に、中心部の市街地と周辺の住宅地域をエネルギー管理システムで連携させる壮大なプロジェクトである(図1)。経済産業省の補助金を活用して、東芝がエネルギーの需要側、東北電力が供給側のシステムを構築・運用する計画だ。

図1 「石巻スマートコミュニティ」の対象モデル地区。出典:石巻市、東芝、東北電力

 このスマートコミュニティでは、太陽光発電による再生可能エネルギーの拡大を図ると同時に、災害時にも自立したエネルギー供給を可能にする新しい都市の形を目指す。キャッチフレーズは「灯りと情報が途切れない安全・安心なまちづくり」である。

 対象の4地区にある公共施設や商業施設にBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を導入するほか、災害公営住宅にMEMS(マンション向け)、復興住宅にはHEMS(家庭向け)を導入して、地域全体のCEMSとのあいだで電力の需給バランスを調整できるようにする(図2)。

図2 地域エネルギー管理システムの全体構成(画像をクリックすると拡大)。出典:石巻市、東芝、東北電力

 さらに災害時には地区ごとに設置した太陽光発電や蓄電池の電力を生かして、照明など必要性の高い機器に優先的に供給する仕組みだ。電力の供給源として電気自動車も活用する方針で、電力が余っている地区から足りない地区へ電気自動車を移動させて配電することも想定している。

 まず2013年度中には防災拠点になる公共施設にBEMSを導入することから開始して、2015年度までに対象の4地区へシステムを展開する予定である。その後に2020年度に向けて対象地区と提供サービスを拡大しながら、周辺の自治体を加えた広域連携も実現させる構想だ。東京オリンピック・パラリンピックの開催時には、最先端のエネルギー管理を備えたモデル都市として、ISHINOMAKIを世界にアピールできる期待は大きい。

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